ポイントはボールへのアプローチ強度

同試合で目立ったのは、鹿島の選手全員のボールに対するアプローチ強度の高さである。特に今節のようなピッチコンディションであれば、余計に必要とされる要素だ。C大阪の選手たちがフリーでヘディングできたシーンがなかったほどに、攻撃の選手たちも含めて強度が高かった。

前半だけを見れば、C大阪の選手たちもルーズボールに対し厳しく寄せていた。ファールも多く、肉弾戦なっているシーンも見られた。しかし後半になると、C大阪選手たちの強度が落ち、一方で鹿島選手たちの強度は落ちることがなかった。

C大阪のチャンスシーンといえば、後半17分のMF香川真司によるペナルティーエリアラインからのシュートぐらいだろう。しかし、このシーンでもMFピトゥカが確実にシュートブロックに入っており、香川のシュートが枠内を捉えていたとしても、ピトゥカがブロックしていたと思われる。結果、元日本代表の10番香川はシュートを大幅に外し、それほど同試合における鹿島選手たち全員の執着心は強かった。


鹿島アントラーズ DF関川郁万 写真:Getty Images

MOMは関川郁万

同試合のマンオブザマッチ(MOM)にはDF関川郁万を選出する。C大阪のロングボールを跳ね返し続けたこと、そして難しいアウェイゲームを制する得点を決めたこと、この2点が選出理由だ。

ロングボールを跳ね返し続け、C大阪の攻撃陣を空から抑え込んだことは大きい。同日のようなピッチコンディションであれば、ロングボールが増えてくるのは自然なことである。そのロングボールの処理をミスすると予期せぬ事態が起こるのも怖いところである中、関川の対応は見事だった。

また、鹿島にとっては引き分けで勝ち点1を得ることが出来れば良しとする場合もありえた。その判断を覆したのが関川の決勝点だった。C大阪全選手の足が止まっているなか、関川の体だけがボールを見ていた。試合を通じて、ボールに対するリアクションが良かった証拠である。