1976年から現在までスペインの首相は僅か7人
筆者が在住するスペインは、フランコ将軍による独裁政治が終わって、1976年に民主化になった。それ以来現在まで首相は僅か7人。平均して一人の首相が6.7年間政権を担ったことになる。
2代目首相の社会労働党出身フェリペ・ゴンサレス氏は14年間政権を維持した。彼の政権時にスペインのインフラが出来上がった。首相になったのは40歳。3度の総選挙では常に過半数の議席を確保した。14年間首相を務めた後はあっさり政界から退いた。そして現在81歳であるが、今も彼の発言内容は政界、マスコミ、市民の間で注目されている。

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カリスマ性の非常に高い政治家で、特にラテンアメリカには現在も頻繁に訪問して政治顧問としての役目を務めている。彼はフランコの独裁政権時の閉ざされたスペインを国際舞台に導き出した人物でもある。
初代首相のアドルフォ・スアレス氏は44歳で首相になり、5年間政権を維持。スペイン人は個性の塊である。それを反映して民主化になり立ての当時は政党の数も多かった。スアレス氏は16の少数政党をひとつにまとめて中道民主同盟という連合党を形成。イデオロギーの違う議員らをひとつにまとめて民主化への道を邁進したのであった。彼も二代目首相のフェリペ・ゴンサレス氏と同様に非常にカリスマ性の高い政治家であった。
彼は比較的裕福な家庭に育ったが、「政治家が弱者の味方になることを忘れたら政治家ではなくなる」と言って社会的に弱い立場にある貧困者らの味方になって人の痛みが分かる政治家であった。晩年の彼はアルツハイマーを患い、彼自身がスペインを民主化に導いたリーダーであった、ということも忘れていた。