「リスクを冒さないことも戦略の一部」
アル・ヒラルに対し最適な戦い方を選べたことについて安堵したのが、浦和のマチェイ・スコルジャ監督とDF酒井宏樹である。第2戦終了後の公式会見に出席したこの2人が、質疑応答のなかで同試合の率直な感想を語ってくれた。
ー監督はアル・ヒラルを相当分析したと思います。彼らのどういうところに攻略ポイントを見出そうとしましたか?
スコルジャ監督:レッズには相手チームの分析をする担当が複数人いて、全員で戦術的なところのディテールまで見ています。アル・ヒラルにはスペースを与えてはいけないというのは分かっていました。1対1のチャレンジにも強力なものがありますので、コンパクトに守備(隊形)を整えながら守らないといけないことも分かっていました。ただ、もっと攻撃的にプレーできたのではないかと思いますし、もう少しボールをキープできても良かったと思います。
アウェイゲーム(日本時間4月30日に行われた第1戦)で1-1という結果でしたので、今日は余分なリスクを冒さないことも戦略の一部でした。最終的にトロフィーを獲ることが狙いでしたので、少しそのような形になったところもあると思います。もちろん3点4点5点取って勝つことができれば良かったのかもしれませんが、アル・ヒラルという経験豊富な素晴らしいチームに対して勝つことは、いつもできることではありません。レッズの選手たちに、私は大きなリスペクトを感じています。
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ー中盤の選手を中心に流動的にポジションを変えてくるアル・ヒラルに対し、ハイプレスに行きたくても行けない、行っても剥がされてしまう場面もありました。そこで[4-4-2]のコンパクトな布陣を敷いて戦えたことがこの結果につながったと思います。その点に対する手応えと、これをJリーグにつなげていくために、守備面でどういうところをブラッシュアップしていきたいですか?
酒井:リーグに関してつなげることは、今日(の試合)からは無いかなと思います。監督も言った通り、僕らがしたいサッカーではなかったと思いますし、ただプロとして勝つことが第一優先で、そのためにどういうサッカーをするかが非常に大事でした。試合中は常に、監督から提示された試合のコンセプトに加え、自分たちで判断して形を変えていく。今日もそういうところはできたと思います。つなげるとしたら、そこだけかなと思います。相手によって変える必要がありますし、(今日は)勝ったことが全てですね。
理想通りの展開にならなくとも、当意即妙に戦い方を変え勝利を手繰り寄せる。これがスコルジャ体制の浦和の強みであり、この特長が2023シーズンのJリーグでも発揮されるかもしれない。