日陰のじめっとしたところに生えるワカメ的な生き物「イシクラゲ」。実は利用価値の高い食材であることをご存じでしょうか。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
道に落ちてるワカメ
皆さんは、駐車場や建物の裏庭に「ワカメのようなもの」が落ちているのを見かけたことはないでしょうか。
晴天の日はカラカラに乾き、雨が降ると半透明の緑色になる様子は、まさにワカメそっくり。濡れている状態のものは踏むと滑ることから、階段や坂道で踏んづけて怖い思いをしたことがある人もいるのではないでしょうか。
この「駐車場ワカメ」は、イシクラゲという生物の群体(細かい生物がいっぱい集まったもの)です。見た目は海藻のようですが、このイシクラゲは藻類のなかでも非常に原始的な「藍藻(シアノバクテリア)」と呼ばれるもののひとつとなります。
実は栄養価が高い
見た目がワカメそっくりなことから、冗談で「食べられるんじゃない?」とネタにされがちなこのイシクラゲ。しかし実際、食用にすることが可能です。
かつてこのイシクラゲが含有している栄養価について調査が行われたことがあるのですが、その頼りなげな見た目に反し、炭水化物とタンパク質の含有量が非常に高いことがわかっています。とくに後者は乾燥品の20%にも相当するそうです。
イシクラゲの栄養価は想像以上に高く、スーパーフードの1つとして活用が期待されているといいます。
沖縄では市販されることも
そんなイシクラゲは、見た目こそあまり良くないものの、容易に採取でき栄養価も高いためか、食用にした歴史を持つ地域もあります。
例えば、滋賀県北東部に流れる姉川という川の流域では、このイシクラゲが古くから食べられており「姉川クラゲ」の名前で呼ばれることもあるそうです。
また、現在でも食材として比較的利用しているのが沖縄県。当地では「モーアーサー(藻のアオサ)」と呼ばれており、道の駅などで市販されることもあります。薄味の汁物に入れたり、昆布のように炒め煮にして食べられているのだそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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