東京都現代美術館で5月28日(日)まで開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展にて、「龍村美術織物」の生地を使用したドレスが展示中だ。
ディオールさんと日本の関係性にフォーカスを当てた同展示は、貴重な機会として注目されている。
織物の“独創と復元”を追求する「龍村美術織物」
「龍村美術織物」は、1894年の創業以来、“独創と復元”というテーマを根底に、織物づくりに真摯に向き合ってきた。
創業者である初代龍村平藏さんは、織物における芸術的完成を求め、古代裂(こだいぎれ)の復元研究に没頭し、様々な織物の知識、技法を学び蓄積することで得た「織の総合力」をもって、正倉院裂(しょうそういんぎれ)をはじめとする国宝や、名物裂(めいぶつぎれ)の復元を果たしている。
世界でも成功した展覧会が日本へ
同展は、パリ装飾芸術美術館での成功に続き、ロンドン、ニューヨークなどを巡回し、満を持して日本・東京にやってきた。
今回の展示では、ディオールさんと日本の関係性にフォーカスが当てられ、新たな視点で捉えられた特別な展覧会だ。ディオールさんと日本との絆の成り立ちが見て取れる、貴重なアーカイブが公開される機会として、大きな注目を集めている。
DIORと龍村美術織物のコラボレーション
ディオールさんが日本の美との数々の出会いを果たした中でも、龍村美術織物の名物裂である「早雲寺文台裂(そううんじぶんだいぎれ)」との出合いは、彼を魅了する大きな出来事だった。
その美しさに心を惹かれ、1954年の秋冬コレクションの“Utamaro(歌麿)”、“Tokio(東京)”、“Rashomon(羅生門)”とネーミングされた作品に、同社の生地を取り入れたことにその注目度が伺える。
そして、日本とのかけがえのない縁は、美智子さま(現上皇后)のご成婚の際のローブデコルテを、同社の絹地を用いてディオール社がデザインするという、歴史的なコラボレーションに飛躍、発展していった。
生地に注目する展覧会
ムッシュ ディオールが大切にしていた、美を支えるアトリエ(工房)への愛、そして技への情熱は、「龍村美術織物」が匠の技を築き上げ、継承してきた姿勢と非常に多くの共通点が見られる。両者をつないだ「ニッポンの生地」という視点から楽しむのも面白いかもしれない。
また、同社のウェブサイトでは今回の展覧会を祝し、特別コンテンツも公開中だ。
ディオールさんのあくなき美への探求、そして龍村美術織物の織物の美しさと高い品質を堪能しよう。
クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ
会期:開催中~5月28日(日)
会場:東京都現代美術館
所在地:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00~18:00
※5/13(土), 14(日), 20(土) , 21(日) , 27(土) , 28(日)は20:00まで
休館日:月曜日
料金:一般2,000円
(田原昌)
名物裂とは、中世から近世初期にかけて、主として中国の宋・元・明から伝来した織物