新聞の苦境は公知の事実である。日本新聞協会によれば、2000年の発行部数5371万部が2022年には3085万部と縮小が続いている。2012年度には1兆1519億円だった販売収入が2021年度には8229億円まで減少し、同じ期間に広告収入も4458億円から2669億円まで減った(日本新聞年鑑’23による)。

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1981年版の日本新聞年鑑によれば、朝日新聞の国内取材網は総局1、支社9、支局79、通信局208で構成されていた。2023年版には総局44、支局151が掲載されている。末端の通信局は支局に呼称変更されたうえ、57も減っている。81年には高知総局の下に中村、須崎、安芸、室戸の4通信局があったが、今では高知総局しかない。経営悪化につれて、国内取材網は縮小されてきた。

日本新聞協会から報告書「デジタル時代の新聞の公共性を考える」が出版されたというので取り寄せて読んでみた。

「知る権利に応え、民主主義を支える新聞の公共性、権力を監視し、より良い社会の実現を目指す新聞の立場はこれからも変わらない」というのが報告書の基本的立場である。それに沿って多くの識者が今後について提言している。