アマルフィ海岸にある小さな町「ヴィエトリ(正式名:ヴィエトリ・スル・マーレ)」は、陶器の名産地として知られています。アマルフィのお土産屋で見かける陶器、ポジターノやカプリのレストランで使われているお皿も、実はヴィエトリで製造されているものであることも。

そんな陶器の町ヴィエトリで、老舗の陶器工房を見学してきました。カラフルで可愛いヴィエトリ陶器はどんな風に作られるのか、その様子をご紹介します。

目次
1. ヴィエトリの町について
2. ヴィエトリの陶器工房を見学してきました

1. ヴィエトリの町について

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<ヴィエトリは町のいたるところに陶器が飾られています。>、『たびこふれ』より引用)

カンパニア州のサレルノにある「ヴィエトリ・スル・マーレ(Vietri sul Mare )」。アマルフィ海岸に位置する町の一つで、1997年からユネスコの世界遺産に登録されています。丘の上に位置する見晴らしの良いこの小さな町は、陶器の名産地として有名。

町の通りはたくさんのカラフルな陶器で飾られていて、インスタ映えもばっちり。陶器好きではなくても、古い町や散策、写真撮影が好きな方ならきっと楽しめます。

2. ヴィエトリの陶器工房を見学してきました

さて、ここからはそんなヴィエトリの町にある陶器工房へ、見学したときの様子をご紹介します。

今回訪れたのは、ヴィエトリの陶器メーカー「Ceramica Massimino」さん。通常は見学を受け付けていないのですが、このときは名前入りのお皿をオーダーしたため、特別に工房内を見せてもらうことができました。普段は見る機会が少ない、陶器づくりの裏側をご紹介します。

工房では、陶器づくりの全工程を行う

この工房では、粘土で形を作るところから、焼き、絵付けなど全ての工程を行っています。南イタリアでは、レストランやホテルなどは家族代々、家業を引き継いでいることが多いのです。この工房も同じく家族経営で、現在のオーナー兼陶器職人のお父さんと後を引継ぐ2人の息子さん達が働いています。

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<ヴィエトリの陶器工房で作られる粘土の原型。>、『たびこふれ』より引用)

こちらが粘土で作られたお皿の原型。お皿のふちについた粘土の屑などを取り除き、一枚一枚手作業で綺麗に仕上げていく根気のいる作業です。この後、工房内にある窯に入れて焼き上げていきます。

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<こちらは家の表札 などに使われる、陶器のナンバープレート。>、『たびこふれ』より引用)

茶色に焼きあがった陶器。こちらは、テラコッタと言われる素焼きの状態です。日本でも耳にすることのある「テラコッタ」という名称はイタリア語が由来。「焼いた(cotta)土(terra)」 という2つの言葉から由来しています。

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<うわぐすりをかけていく工程。>、『たびこふれ』より引用)

カラフルなヴィエトリ陶器の鮮やかな発色を出すには、テラコッタにうわぐすりをかけて絵を描くベースを作る工程が必要。錫釉(すずゆう)という白いうわぐすりをかけて焼くことで、絵付けしやすい真っ白な陶器になります。

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<陶器に絵付けをする様子。>、『たびこふれ』より引用)

真っ白な陶器が焼き上がったら、ここからやっと絵付けに入ります。「生まれた時から陶器に絵を書いて遊んでいた」という息子さん達。下書きなしでスラスラと絵を描いていきます。

レモンや魚など、まずはアマルフィ海岸で定番のデザインをマスターして、それから徐々に自分らしいオリジナルのデザインや色合いを描けるようになるそうです。

絵付けの工程では、まず基本となる「線」の部分を先に書いていきます。消しゴムなどはありません。流れるように絵を描いていきます。

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<陶器に色をつけていく様子。>、『たびこふれ』より引用)

線を書き終わったら、いよいよ色付けの工程です。線からはみ出さないように、塗り絵の要領で色を乗せていきます。隣り合う色と混ぜ合わせてはいけないため、一色塗っては筆を洗い、また一色塗っては筆を洗う、という手順を繰り返していきます。とても根気と集中力のいる作業です。

お土産にも人気♪南イタリアの町ヴィエトリで陶器工房見学!
(画像=<絵付けが完成!>、『たびこふれ』より引用)

写真は絵付けが完成し、最後の焼きを待っている状態。これが焼き上がると、ヴィエトリ陶器ならではの鮮やかな色に仕上がります。塗った時と焼き上がりで色が変わるため、一番難しいのは最終的な色合いを計算して色付けしていくことなのだそう。

デザインや色のコントラストを見ながら、焼き上がりの色も計算するのは経験を積まないとできない作業なのです。