日本の時計市場においては、機械式ムーヴメント、クォーツムーヴメントを問わず、ムーヴメントを製造する能力を持っているのは基本的に国産大手メーカーだけである。また、そうした日本の時計界のバックグラウンドも影響してか、ひと昔前までは時計ブランドと呼べるような存在も、同じく国産大手メーカーに限られている状況が続いてきた。
そんな、日本の時計界に変化が生じてきたのが十数年前のこと。1990年代半ばから始まった高級機械式時計の復権と、それによって拡大した本格機械式時計のマーケットは同時にコアなユーザーを生み出した。90年代後半の機械式時計復権から30年以上にわたる歳月を経て、コアなユーザーのなかから、小規模で時計ブランドを創設する次世代のブランドオーナーが次々と誕生しているというわけだ。
今回は、そんな日本で創設された新興時計ブランドのなかから、10万円以下の価格帯でコストパフォーマンスに優れた機械式モデルを展開する、Rooster(ルースター)というブランドに注目してみた。
Rooster(ルースター)は、明治36年(1903年)に横浜元町で井田友太郎が創業した井田時計店を原点とする“IDA Watch”のオリジナルブランドだ。“腕時計”というアイテムをライフスタイルの中で身近に感じ楽しんでもらえることを目標に掲げ、無駄な流通コストを削減し、手の届く価格で品質の高いクラシックウオッチを生み出している。
日常使いしやすいクラシックスタイルをベースに、色使いや細部の作りで個性をプラスしたデザインが魅力的だ。ぜひチェックしていただきたい。
【編集部の注目のモデル_其の1】
Rooster(ルースター)
キューポラタイプ40M/ネオクラシック
セイコー製の自動巻きムーヴメントを搭載する定番コレクションの新作。既存モデルではプリント使用であったアラビアインデックスが立体的なアプライド仕様になったほか、ギョーシェスタイルの型押し文字盤を採用。外周と中央で模様を変えたカラー文字盤が陰影を生み出し高級感と個性を高めている。
■(左)クリムゾンレッド。(右)アイビーグリーン。SS(40mm径)。日常生活防水。自動巻き(日本製)。各7万400円
ムーヴメントはセイコー製のCal.NH36Aを搭載。全体を見せる一般的なシースルーバックではなく、あえてテンプの動きを小窓でクローズアップしたデザインが面白い。
キューポラタイプ40M
ネオクラシック(ホワイト)
7万400円