ポイントは攻撃時にサイドを取れたかどうか

同試合で目立ったのは、F東京と新潟の両チームによる攻撃時に上図で示した丸囲いのエリアを取る動きである。このエリアの取り合いについて同試合ではF東京が勝っていた。このエリアに元から配置されている仲川と渡邊に加え、安部、MF松木玖生、バングーナガンデがランをみせた。

このエリアを取る理由は2つ。

1つ目は相手のディフェンスラインを下げさせること。エリアを取られた相手ディフェンスは守備のためにラインを下げざるを得ない。そうなると重心が下がり、待ちの態勢で守備をすることが必要とされる。

2つ目は中のスペースが空くということ。同試合でいうとオリヴェイラのスペースが広くなって戦術がはまり、2点目のシーンが生まれたと言える。この作業を試合中で繰り返すことで、得点がうまれる可能性が高まるのだ。

新潟も前半においては、この作業で負けていなかった。特にMF三戸舜介は良い動きを繰り返していた。しかし、強度という面においてはF東京が上であったと言えよう。


FC東京 FW渡邊凌磨 写真:Getty Images

MOMは渡邊凌磨

同試合のマンオブザマッチ(MOM)には、渡邊を選出する。もちろん、得点を挙げたオリヴェイラや仲川も素晴らしい活躍をしたことは間違いない。しかし、この試合をF東京が制したポイントである「サイドを取る仕事」に最も貢献したのが渡邊であった。自身のランによるサイド獲得に留まらず、パスでサイド獲得を演出。オリヴェイラによる2点目も、渡邊のパスが起点となった。

F東京の指揮官、アルベル・プッチ・オルトネダ監督からは「自由に動いていい」と指示を受けるほど信頼を獲得している渡邊。チームの要として、今後はどんな攻撃を演出するかが楽しみである。