5月27日(土)、東京・丸の内にある丸ビルホールにて、Shinwa Auction社が主催する特別オークションが開催される。現時点で、このオーディションに伯爵藤堂高紹(とうどうたかつぐ)旧蔵の金茶道具一式が出品されることが明らかに。
今回は、エスティメイト(落札見積価格)が1億5千万円以上とも目されるこの金茶道具一式がどのようなものなのか、気になった人のために紹介したい。
藤堂家に伝えられた家宝「金茶道具一式」
1929年、東京・上野の東京府美術館にて美術展覧会「日本名寶展覽會」が開催された。この展覧会は、国宝や重要文化財、皇室の御物とともに、華族などの格式の高い名家に伝来し門外不出とされてきた美術品の数々が一堂に会し、大きな話題を呼んだ。
その優れた名宝の中でも、1ヶ月間ほどの会期中にもっとも来場者の注目を集めたといわれる出品作品の一つが、眩いばかりの黄金色に輝く金の茶道具一式だ。
当時、この茶道具は伯爵藤堂高紹の所蔵品であり、藤堂家の当主でさえも年に一度しか目にできない秘蔵の家宝であったという。
茶道具は「日本名寶展覽會」で広く世に知られて脚光を浴びたが、第二次世界大戦中の金属類回収令を受けて供出され、日本銀行の買い取りに。
しかし、幸運にも茶道具は武器製造の資源として使用されず、終戦後も日本銀行に残されていたため、1960年に売り戻されたのち、再び藤堂家の所蔵となった。
数奇な運命を辿る茶道具がオークションに出品
今回のオークションには、由緒正しくも数奇な運命を辿ったこの金の茶道具一式が出品される。
茶道具は、茶碗、天目台、茶入、釜と付属する釜鐶、風炉、蓋置、建水、杓立、火箸から構成。その一つひとつが豪奢さや優雅さとともに、唐物写し独特の気品と荘重な趣であふれている。また造形のみならず、施された文様も非常に精緻で優美だ。
大名家に伝来した古格ある金の茶道具は、徳川美術館蔵の「純金台子皆具」が現存する皆具として重要文化財に指定されているが、同作はもう一つのきわめて希少で重要な作品と言えよう。
同オークションにはほかにも、国内外の近代美術・コンテンポラリーアート、ジュエリーなどが出品される。詳細は順次、Shinwa Auctionの公式サイトにて公開予定だ。アート投資を考えている人は、オークション開催当日までこれらの展開から目が離せない。
特別オークション
日時:5月27日(土)14時開始
会場:丸ビルホール
所在地:東京都千代田区丸の内2-4-1丸ビル7F
(IKKI)
皆具:茶碗、天目台、茶入、釜と付属する釜鐶、風炉、蓋置、建水、杓立、火箸、水指のこと/今回の茶道具は水指が備わっていない