渋滞の中で定速走行を続ける車が話題に

本記事は2021年10月26日に公開した内容を一部編集したものです。
首都高速中央環状線の山手トンネル内で発生した渋滞の中、前車との車間距離を大きくとって低速で走行を続ける軽自動車の動画がSNSに投稿され、「渋滞吸収車だ」と話題になりました。
「渋滞吸収車」がなぜ車間距離を大きくとって低速で走行を続けているのか、その目的と効果を紹介します。
「渋滞吸収車」は後続の渋滞を緩和する

渋滞が発生するとき、一般的には車1台から2台程度の車間距離で前車の動きに追従し、前車が停止すれば停止、発進すれば発進という運転が繰り返されます。
前車の動きを見てから操作がおこなわれるため、前車が1秒停止すると、その後ろの車の停止時間はそれよりも長い時間、さらに後ろの車はまたそれよりも長い時間停止することになり、この連鎖によって後続車の停止時間がどんどん長くなっていきます。
自分の車が渋滞を抜けたとしても、後続の車はこの連鎖の影響を受けているため渋滞の解消には時間がかかってしまうのです。
この連鎖を断ち切るための運転方法が、前述の軽自動車がおこなっていた「渋滞吸収走行」です。この渋滞吸収走行をおこなっている車のことを「渋滞吸収車」と呼びます。
渋滞吸収走行のコツは「予測」と「コントロール」
動画で撮影された軽自動車は前を走るトラックとの車間距離を大きくとっていて、低速ながら停止することなく走行を続けていました。
これにより自車はもちろん後続の車も停止することなく走行することができるため、渋滞吸収車が渋滞を抜けたときには後続の渋滞も解消されるというものです。
前方で渋滞が発生し停止している車がいることを予測して、あらかじめ減速。その後も車間距離を大きくとりながら前方の車列の動きを予測して、適切な速度にコントロールする必要があるため、この軽自動車のドライバーに対してSNSでは「運転が上手い」と絶賛するコメントが多く寄せられました。
渋滞緩和のキモは「速度」と「車間距離」

動画が撮影された山手トンネルは一見すると平坦な道ですが、実はゆるやかな起伏が連続しており、気づかないうちに速度が低下していたということが起きやすい道路です。速度が低下した前走車との距離がいつの間にか詰まっていたということが起きやすくなっています。
危ないと思ってブレーキを踏んで減速すると、後ろの車もブレーキを踏んで減速、さらにその後ろの車も…という、前述のような連鎖が起きてしまうため、こうした「ゆるやかな起伏」がある道路では渋滞が発生しやすいのです。
これを防ぐため、ゆるやかな上り坂などには看板や光の誘導で速度回復が促されています。
しかし、速度に注意することも重要ですが、十分な車間距離をとることも重要です。
車間距離が十分とれていれば、前を走る車の速度が遅くなってもブレーキを踏むことなくアクセルを少し戻す程度で速度と車間距離のコントロールができます。
車間距離は「0102」を目安に

最低限とるべき車間距離については、距離ではなく時間で考えるのがおすすめです。
「道路上の看板や柱などの目印を前走車が通過したあと、『ゼロ・イチ・ゼロ・ニ』と数え、『ニ』で自分の車がその目印を通過する距離を目安にする」という、「0102運動」が参考になります。
前述の渋滞吸収車も、前を走るトラックとの車間距離を十分にとることで停止せずに走行を続けることができていました。
道路にとっては渋滞や事故の防止になりますし、ドライバーにとっても安全や疲労の軽減につながるので、車間距離を十分とった余裕のある運転を心がけましょう。
本記事には、トラックや大型バスなどのドライバーが実践しているといったコメントのほか、「渋滞吸収走行で車間を開けているのに車が割り込んで入ってくる」というコメントが寄せられました。
たとえこの先が詰まっていたとしても、少しでも前に進みたいという気持ちを抑えることができないドライバーは少なくないようです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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