島根・出雲の西海岸から、食の“地方創再生”が始まる。
出雲市の最西端にある多伎町に、複合施設「WINDY FARM ATMOSPHERE」が5月1日(月)グランドオープンする。同施設に入るのは、島根の食が楽しめる大型レストラン、8室全てが海に面している洞窟のようなホテル、そしてバラエティ豊かな食が楽しめる大型パーキングエリアだ。
運営会社のバルニバービと地元の人が一体になって展開する、地方創再生プロジェクトの第1弾となる。
地元生産者とのつながりを活かした食の提供
「WIND FARM」とは集合型風力発電所のことで、出雲市にも新出雲風力発電所がある。
今回開業する「WINDY FARM ATMOSPHERE」は、明るい気持ちを運んでくるそよ風や、進む方向をそっと後押しする追い風といった、“風の鼓動”を感じる場所という意味があるという。風のように軽やかでしなやかな発想で生きる、今の時代にもつなげている。
掲げたビジョンは「食から始まる日本創再生」。全国に飲食店92店舗を構え、地元の生産者とのつながりを構築しているバルニバービ―の強みを生かして、多様性のある食を提供する。
全国の人に出雲、島根の良さを再認識してもらうこと。そして、持続可能な循環型社会の実現に貢献することを目指す。
島根・出雲の“食の多様性”を感じられる3つの施設
「GARB CLIFF TERRACE IZUMO」「IZUMO HOTEL THE CLIFF」「出雲湖陵パーキングエリア」それぞれの概要は次の通りだ。
1. 島根の食と景色が味わえる185席の大型レストラン
「GARB CLIFF TERRACE IZUMO」は、島根の食材と日本海の夕陽が味わえる店。店内の席のほか、オーシャンビューのテラス席も用意している。
たとえば「加田屋トマトカプレーゼ」(1,500円〜)、「島根和牛薪ステーキ 150g」(3,500円)、「地穴子と筍の土鍋ごはん 米200g」(2,500円)と、国籍やジャンルにとらわれない品々を提供するのが特長。島根食材を用いるだけでなく、薪火を使って仕上げる料理も楽しめる 。
島根県の食材を使ったランチコースやディナーコース、奥出雲のワインで楽しむペアリングコースも用意する。
2. 海と食を楽しむ8室限りの“洞窟”ホテル
「IZUMO HOTEL THE CLIFF」は、わずか8室の自然一体型ホテルだ。キングサイズの1ベッドルームタイプと、シングルサイズの2ベッドルームがある。
8つの部屋はそれぞれが独立した棟で、“CAVE(洞窟)”のような雰囲気。約10mの断崖の中につくられていて、遮る物がないオーシャンビューの景色が楽しめるよう、それぞれの棟は異なる方向を向いている。
各部屋には、自然をダイレクトに感じられる広いジャグジー付きテラスを設置。予約制のプライベートサウナもあるので、サウナ―は早めに申し込みを。
朝食は身体に優しい和定食で、「しじみエスプレッソ」から始まり、ネッカ卵の出し巻き卵や三瓶サーモン、島根牛の肉豆腐など、地元食材を使った料理が並ぶ。
朝食の時間に合わせて、島根県のブランド米・仁多米を使用した、炊きたての土鍋ごはんを提供。松江藩七代藩主の松平不昧(ふまい)公が好んだとされる汁かけご飯をベースにした郷土料理「鯛めし」も用意する。
3. 島根の食材を使った食事も楽しめるパーキングエリア
「出雲湖陵パーキングエリア」は、「瞬間」を楽しむ食を提供する施設だ。飲食店のほか、お土産ショップや、大自然に溶け込めるフォトスポット「風のブランコ」も併設している。
オープンする飲食店は、「出雲湖陵クリフバーガー」「グッドサンセットコーヒー」「クリフ エンド アイスクリーム」、キッチンカー「中華そば 出雲いのうえ」の4店舗。
地元の和牛や野菜、抹茶、醤油などローカルフード・調味料を使った、ここでしか食べられないメニューが揃う。
今後は、移住を目的とした住居や、農業支援や自立型エネルギーシステムの導入などにより地産地消・自給自足のビレッジ型エリアが誕生する予定だ。人々が楽しく、豊かに暮らせるコミューンを目指すという。
「WINDY FARM ATMOSPHERE」から巻き起こる、新しい風に期待したい。
WINDY FARM ATMOSPHERE
所在地:島根県出雲市多伎町久村1870
(高野晃彰)