資産設計実践会メンバーとの東北スタディツアーの2日目のランチは気仙沼の唐桑御殿つなかんさんでした。映画化された「ただいま、つなかん」の舞台になった民宿です。

女将の菅野一代(かんのいちよ)さん(写真)に初めてお会いしたのは7年前の2016年だったと思います。震災からようやく復興して、ようやく次のステージに向けて希望を持ちはじめた頃でした。復興支援で行ったつもりが、一代さんの底抜けの明るさで、むしろこちらの方が元気付けられてしまったのを覚えています。

ところが、そんな一代さんを再び更に大きな試練が襲います。2017年に海難事故によりご主人と長女、三女の夫という3人がいなくなってしまったのです。

次々と降りかかる災難に「自分だけがナゼ」と神様を恨んだこともあるそうです。でも、子供の頃から父親に教えられた「与えられた運命を愛せよ」という言葉に救われたと言います。

本当の心の中は想像するしかありませんが、起こってしまった現実を恨んでも何も変わらない。であれば、その現実を受け入れた方が良いと考えたのかもしれません。

でも、自分が同じ立場になった時、いつも言っているように「事実は1つ、解釈は無限」と現実を受け入れることができるか。そう問われると、私にはその自信はありません。

悲しい出来事と何とか折り合いをつけながら、毎日を精一杯明るく生きる一代さんが目標にしているのが、海が見えるサウナを作ること。津波防止用の防潮堤が建設されて、海が見えなくなってしまった。そこで、海岸沿いの使っていない古い倉庫をリノベーションして、海が見えるサウナを作るというプランです。