今後の課題は「収益性」

イオンが同日に発表した2024年2月期の業績見通しは、営業収益が同3.1%増/2832億円増の9兆4000億円、営業利益が同4.9%増/同103億円増の2200億円、当期純利益が14.6%増/同32億円増の250億円となっている。営業利益はコロナ前を超え、過去最高を見込む。

イオングループ最大の課題は、収益性の改善だ。売上高営業利益率は2.15%と、ライバルのセブン&アイ・ホールディングス(4.29%)と比べても大きく見劣りする。

ブレイクスルーの一助になりそうなのがプライベートブランド(PB)の充実・強化だ。物価高が進み、食品の値上げが相次ぐ中、消費者の生活防衛意識が高まっている。イベント時などは思い切って消費を行う一方で、ふだんの食卓は安く抑えるという消費スタイルが広がっている。ほとんどの品目で価格を据え置いている「トップバリュ」をはじめとしたグループPBは、そうした“賢い消費者”の受け皿となっている。言い換えれば、PBへの期待値はかつてないほどに高まっている。

一方で、正社員やパート従業員の賃上げによる人件費の戦略的積み増し、エネルギーコストの上昇など、2024年2月期はコストプッシュ要因が目白押しだ。イオングループでは、23年2月期に引き続き、24年2月期もデジタルシフト促進などによる生産性向上により、コスト抑制を図るとしている。

提供元・DCSオンライン

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