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レッカー車で故障車をけん引するのに“けん引免許”は必要?
事故車や故障車をけん引する際の注意点
レッカー車で故障車をけん引するのに“けん引免許”は必要?

自動車免許には「けん引免許」というものがあります。被けん引車(つまり引っ張られる方の車)が750kg以上の際には、けん引免許が必要です。しかし、事故車や故障車をクレーンやロープでけん引する場合は、その限りではありません。
今回取り上げているレッカー車の場合、車両を引き上げる装置はクレーンです。事故・故障で動けなくなったクルマをレッカー車で動かすという条件であれば、必要なのはレッカー車を動かすための免許となります。つまり前述したレッカー車の大きさに対応した運転免許があれば、事故車や故障車のレッカーを行うことは法律上可能ということになります。
これは、道路交通法の第59条1項・2項の「自動車の牽引制限」という項目にて明文化されています。
第五十九条 自動車の運転者は、牽引するための構造及び装置を有する自動車によつて牽引されるための構造及び装置を有する車両を牽引する場合を除き、他の車両を牽引してはならない。ただし、故障その他の理由により自動車を牽引することがやむを得ない場合において、政令で定めるところにより当該自動車を牽引するときは、この限りでない。
2 自動車の運転者は、他の車両を牽引する場合においては、大型自動二輪車、普通自動二輪車又は小型特殊自動車によつて牽引するときは一台を超える車両を、その他の自動車によつて牽引するときは二台を超える車両を牽引してはならず、また、牽引する自動車の前端から牽引される車両の後端(牽引される車両が二台のときは二台目の車両の後端)までの長さが二十五メートルを超えることとなるときは、牽引をしてはならない。ただし、公安委員会が当該自動車について、道路を指定し、又は時間を限つて牽引の許可をしたときは、この限りでない。
道路交通法の第59条1項・2項の「自動車の牽引制限」 注意すべきなのは、故障・事故車に限るということです。壊れていない自走できるクルマを理由にけん引する場合は、けん引免許が必要になる行為と認識しておきましょう。
事故車や故障車をけん引する際の注意点

このように、けん引免許を持っていなくても事故車や故障車のけん引を行うことはできますが、レッカー車を使ってけん引する際には、様々な注意が必要です。
けん引するということは、自車2台分の車を、1台の車の動力で行うということ。けん引の際は自分の運転する車の車長に加え、けん引車分の長さを考慮する必要があるため、車両が長くなった状態での運転は、遠近感を正確に把握できなければなりません。
実際、自車後方にあるけん引車両の後端にまで意識を集中するのは非常に難しいうえ、けん引時の車両の動きは、単独で走行している際と大きく異なります。曲がる際の内輪差は大きくなりますし、リフトされている状態で後方の車がどのように動くのかが非常につかみにくくなります。
筆者も私有地内でレッカー車を運転し、けん引しながら運転や車庫入れを行ったことがあります。バックで車庫入れする際には、車2台分後方の動きと、障害物との距離感を掴む必要があるため、前述した深視力(遠近感)がより求められると感じました。
さらに、ブレーキが効いていない事故車・故障車をけん引する場合、車両が停止する際には後方から突き上げが発生し、普段よりも制動距離が長くなることも頭に入れておかなければなりません。事故車・故障車のけん引を行う際には、普段よりも慎重に、ゆっくりと、安全に動かすということが大切です。
文・Red29/提供元・MOBY
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