時間表示に加えてストップウオッチ機能を備えたクロノグラフ。メカ好きの心をくすぐる特殊な計測機能に加えて、クロノグラフ針と計測用のインダイアルを備えた複雑でメカニカルなデザインにより、数ある時計のジャンルのなかでも突出して高い人気を誇っている。

人気の高いジャンルのためラインナップも多く、クロノグラフのなかにもいくつかのカテゴリーが形成されているが、なかでもひと際強い存在感を放っているのが1960〜70年代に製造された“レース仕様のクロノグラフ”だ。

19世紀に始まった自動車レースは、20世紀に入ると国際競技としての体裁が整えられていき、第二次世界大戦後は景気の拡大に伴ってフォーミュラレースが確立。レジャー需要の拡大にともなって耐久レース、ラリー、スーパーGTなど様々なレーススタイルが生まれ、1960〜70年代に全盛期を迎えることとなる。モータースポーツは順位やタイムを競うものであるため、正確なラップタイム計測が可能なクロノグラフとモータースポーツはマーケティング面でも相性が良かった。50年代に登場したタグ・ホイヤーのカレラ、モナコ、オメガのスピードマスターなどを皮切りにしてモータースポーツにインスパイアされたモデルが展開され、世界的なモータースポーツブームを背景にして、その後も数多くの時計メーカーがレース仕様のクロノグラフを発売していった。

【1960〜70年代のレース用クロノグラフを再現!】10万円以下から価格別で選んだ、今夏に着けたい狙い目クロノグラフ
(画像=画像をクリックして拡大:写真は1970年代に製造されたホイヤーのオウタヴィア(Ref.11630)。ブルー、イエロー、レッドを取り入れた色使い、オーバルケースなど70年代ならではの個性的なデザインが印象的だ。、『Watch LIFE NEWS』より引用)

クロノグラフの計測機能に加えて、速度を計測できるタキーメーターをベゼルや文字盤外周に備えているのが50年代以降に展開されたレース用クロノグラフのスタンダードなスタイルであったが、60年代後半から70年代に入ると競合ブランドとの差別化、当時流行したスペースエイジデザインの影響によってクロノグラフのデザインはより個性的なものとなる。象徴的なのがクルマのインストルメントパネルをモチーフにしたデザインだ。特に多く見られたのが、文字盤とインダイアルに反転色などを用いてコントラストを効かせ、計時表示を強調したデザインである。色の組み合わせもベーシックな白や黒だけでなく、ブルーやオレンジといった、レーシングカーを彷彿とさせるカラフルでスポーティな色を取り入れたほか、インダイアルをスクエア形にするなど、ユニークな意匠が採用されている。

今回は、そんな1960〜70年代の“レース仕様のクロノグラフ”をモチーフにしたモデルに注目し、価格別にモデルをセレクトしてみた。人気ジャンルのクロノグラフで、周りと一味ちがう個性を主張したい人は、ぜひチェックしていただきたい。

【10万円アンダーのお手頃モデル】
YEMA(イエマ)
ラリーグラフ メカクォーツ

【1960〜70年代のレース用クロノグラフを再現!】10万円以下から価格別で選んだ、今夏に着けたい狙い目クロノグラフ
(画像=画像をクリックして拡大、『Watch LIFE NEWS』より引用)

1960年代にリリースされ、70年代に人気を博したレース用クロノグラフ、ラリーグラフをベースに製作されたヘリテージコレクションの最新モデル。オリジナルモデルと同じく、レーシングカーのダッシュボードからインスパイアされた台形のインダイアルを採用。文字盤と高低差を付けて凹ませた仕様となっており、台形のユニークなフォルムと立体的な造形が文字盤にアクセントを加えている。

【1960〜70年代のレース用クロノグラフを再現!】10万円以下から価格別で選んだ、今夏に着けたい狙い目クロノグラフ
(画像=画像をクリックして拡大、『Watch LIFE NEWS』より引用)

サイズはアンティークウオッチを思わせる小振りな39mm。厚さが11mm。ドーム形のサファイアクリスタル風防、非ネジ込み式プッシュボタン、リューズガードのないケースとオールドスタイルを継承しつつ、セイコー製のVK64メカクォーツムーヴメントを搭載することで高度な実用性を実現している。

【1960〜70年代のレース用クロノグラフを再現!】10万円以下から価格別で選んだ、今夏に着けたい狙い目クロノグラフ
(画像=画像をクリックして拡大、『Watch LIFE NEWS』より引用)

裏ブタはスクリューバック仕様。内部には高額な機械式クロノグラフの操作感と雰囲気を手頃な価格で楽しめるセイコー製のメカクォーツムーヴメントVK64を搭載している。一般的なクォーツの1秒毎に運針するステップ運針ではなく、機械式のように細かに針が動いて切れ目なく滑らかな運針に見えるスイープ運針するというのが大きな特徴だ。しかも、クロノグラフ秒針をゼロリセットする際も機械式時計のように瞬時に帰針する。

【1960〜70年代のレース用クロノグラフを再現!】10万円以下から価格別で選んだ、今夏に着けたい狙い目クロノグラフ
(画像=画像をクリックして拡大、『Watch LIFE NEWS』より引用)

■ラリーグラフ メカクォーツ(リバースパンダ)。SS(39mm径)。10気圧防水。メカクォーツ(セイコー製Cal.VK64)。5万7750円

【問い合わせ先】
イエマジャパン
TEL.03-5875-8810