新宿にあるアイデムフォトギャラリー「シリウス」は、「星野崇コレクション Barbara Morgan -Dance and Photomontage-」を4月26日(水)まで開催する。

同展を観に新宿まで足を運んでみてはどうだろう。

アメリカの女性写真家、バーバラ・モーガンさん

バーバラ・モーガンさんは、1930年代から1970年代にかけて活躍した、アメリカの女性写真家。特に「アメリカン・モダン・ダンス」の写真は有名であり、また都市を題材としたフォトモンタージュも数多く手がけている。

画家として活動していたモーガンさんは、当初写真を、アートではなく、ジャーナリズムと考えていたそうだ。しかし、エドワード・ウェストンさんの初の個展を手伝うことになり、被写体をリアルに捉えた彼の写真の中に抽象的な美しさを感じ、写真に芸術的表現の可能性があると考える様になったという。

写真による芸術的表現の可能性

彼女のダンス写真は、ドキュメンタリーとしてのダンサーの記録ではなく、彼女のスタジオでのダンサーとの共同作業による、独自の芸術表現となっている。光と影、身振り、形状の単純化、内在的な動きやリズム、そして空間の統合によって、生命そのものを表現している。

複雑な感情を、幅広い比喩を交えて表現

彼女は、社会の多様性を表現するのに、フォトモンタージュは適していると考えた。都市を題材とした作品には、大恐慌の不安、急速な近代化による都市環境の人々への重圧といったものが見られる。

一方、発展する都市のすばらしさや、未来への希望といったものも感じられる。これらの複雑な感情を、幅広い比喩を交えて表現している。

また、彼女はダンス写真の研究において、いろいろな光源を試した。シャッターを開いて、マルチフラッシュやストロボを使用した。その経験はライト・ドローイングに発展する。

暗いスタジオでシャッターが開いたカメラの前で懐中電灯を振り回し、ネガに画像を作成した。ここには、彼女の表現の根底にある、動き、リズム、流れと、抽象化が最も顕著に表れている。

約30年ぶりの個展

昨年、東京都写真美術館にて開催された「TOPコレクション 光のメディア」展でモーガンさんの作品が展示されたが、日本での個展は1982年、ナガセ・フォトサロンにて開催された「バーバラ・モーガン フォトモンタージュ」展以来になる。

約30年ぶりに開催されるバーバラ・モーガンさんの個展「星野崇コレクション Barbara Morgan -Dance and Photomontage-」を見逃さないようにしよう。

星野崇コレクション Barbara Morgan -Dance and Photomontage-
会期:開催中~4月26日(水)10:00~18:00 ※最終日は15:00まで
会場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」
所在地:東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F
休館日:日曜日
入場料:無料l

(角谷良平)