日産自動車と日立ビルシステムは2023年4月12日、電気自動車からの給電で停電時のエレベーター利用を可能にするV2X(EV車両と外部との電源接続)システムの普及に向けたコラボ第2弾の取り組みとして、軽自動車の電気自動車「サクラ」のバッテリーからの給電で、日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を、外部給電が可能なバッテリー残量10%まで連続稼働させる実証実験を行ない、14時間56分の連続稼働を達成したと発表した。
日立ビルシステムは、今回の実証実験結果を踏まえ、2023年6月のV2Xシステムの販売開始に向け、詳細な仕様検討などを進めて行く。また日産と日立ビルシステムは、V2Xシステムの普及に向け、今後も取り組みを推進するとしている。
こうした実証実験は、大規模な自然災害の影響で停電が発生した際にも、社会生活を継続できるようにするための対策のひとつだ。高層ビル・マンションなどで停電時にエレベーターなどの共用部設備が使用できなくなる事態を回避するため、非常時電源として蓄電池などを整備する動きが進んでいるが、導入コストなどが課題になっている。
このような背景のもとで、日立ビルシステムは電気自動車の普及により、ビルの非常時電源として活用できる可能性が広がっていくことを認識し、停電時に電気自動車と建物をつなぐV2X技術により、電気自動車からエレベーターなどのビル設備に給電を行ない、継続利用を可能とするシステムを開発し、実用化に向けて準備を進めているのだ。
今回の実証実験では、電気自動車の電力を利用した給電可能最大時間までのエレベーター動作確認、エレベーターの実稼働データ計測を行なうことを目的としている。使用車両は軽電気自動車「サクラ」(バッテリー容量20kWh、バッテリー残量10%まで外部給電が可能)で、使用するエレベーターは日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」だ。
実験環境は、6階建ての試験棟に設置されているエレベーターの稼働電力を電気自動車からの給電に切り替え、停電時に使用する低速運転モードで電気自動車のバッテリー残量が10%となるまで往復運転を実施(1階および6階でドア開閉、実利用を想定した重り搭載)し、エレベーターの連続稼働時間、昇降回数、電気自動車のバッテリー残量を測定するというもの。
実験の結果は、実験開始から14時間56分が経過し、エレベーターの連続昇降回数が416回(往復)を数えた時点で、バッテリー残量10%に到達、エレベーターは安全に休止した。この実験により、電気自動車「サクラ」からの給電で、約15時間エレベーターを連続稼働させられることを実証したことになる。
なお、同条件で「リーフe+」(バッテリー容量60kWh)を用いて外部給電が可能なバッテリー残量10%までエレベーターの連続稼働を行った場合の理論値は、連続昇降回数1248回(往復)、連続稼働時間44時間48分となるとしている。
提供・AUTO PROVE
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