女性コーチは約3割問題、WEリーガーの言葉
皆さんが「女性コーチ」と聞いて、パッと思い浮べることができる人物は居るだろうか。日本国内ではコーチ業を目指している女性の数が少なく、全体の28%に留まるのが現状だ。
その理由の1つには、目指す以前に技術不足ということを不安視してしまい、結果的に断念してしまうということがあげられる。その他、目指し方の情報不足や、たとえコーチになったとしても出産や育児などで業務遂行が難しい環境になるなど、いくつかの理由が存在する。現役の選手目線では下記のような意見が挙げられた。
GK船田麻友(ちふれASエルフェン埼玉)
「私は、指導する側の立場はやりたいと思うタイプで、『指導者』という言葉を聞くと面白そうだなという印象を持っています。技術不足ということは、確かに絶対に思うことかもしれないけれども、周囲が何を基準にして指導力や技術力の有り無しを判断しているのかが明確ではないし、まずはやってみて進んでいけたら良いのかなと思います」
FW松本茉奈加(ノジマステラ神奈川相模原)
「自分は多分技術不足だと思うし、大変そうだなという理由で今のところコーチを目指すつもりはないです。結果を出すことや(選手を)育てなければならないなど、プレッシャーを感じる職だと思うし、それは選手をしているからこそ(コーチの大変さが)目に見えてわかるし、見えない部分でもきっと大変なんだろうなというのをとても感じています」
![](https://football-tribe.com/japan/wp-content/uploads/sites/23/2023/04/WE22151_061.jpg)
人生のターニングポイント期にアプローチ
では、女性コーチの数を増やしていく為には、どんな人々をターゲットにしてどんな方法で投げかけるのが効果的なのだろうか?ディスカッションは具体策に迫っていく。
例えば、小中学生などの若い世代を対象に、ロールモデルとして現役女性コーチからコーチ職の良さをレクチャーしてもらう方法。または、現役サッカー選手をターゲットとして、より多くの小中学校でサッカー教室を開催し、選手たち自身が指導することの楽しさに触れ合う機会をつくる方法などがあがる。実際にGK船田(ちふれASエルフェン埼玉)は、サッカー教室で子どもたちに指導したことをきっかけに、指導業というものに興味を抱いたそうだ。
また、少し視点を変え、特にターゲットを絞らずに広く多くの人々に対して、サッカークラブ内のコーチというカテゴリーを細分化(フィジカル、メンタルコーチなど)して垣根を低くすることで、よりコーチという職に挑戦してもらいやすくする方法などもあるだろう。様々な視点から見つめれば、意外と多くの案が思い浮かぶ。
そんな中、同グループワークで辿り着いた最終的な施策。それは、職業選択中の大学生世代をターゲットとするというものだ。彼らに現役選手たちの練習風景を見学や参加してもらい、コーチ業に興味をもってもらう機会をつくること。自分の道を選択するタイミングにこのような経験をすることで、職業としての選択肢に加えやすくなったり、重要なマイルストーンとなることが期待できる。
他にもストレートな意見や新鮮な施策アイディアがたくさん飛び出した第5回『WE ACTION MEETING』。参加者は選手たちを含めて約90名強と、全体の紹介は叶わないが、勢いと熱が感じられた。WEリーグの理念を含めたこれらのユニークな取り組みは、日本だけに留まらず近い将来に海外からも注目の的になると予想する。今後もWEリーグの「ACTION」から目を逸らしている暇はなさそうだ!