記事は一例として、委嘱を受けた化学の研究者は「GPT-4は化学の研究を加速し質を高めるだろう」としながら「危険な研究にも用いられ得る」と述べていて、Open AIが対策を検討しているという。
とてつもない能力を備えたこのAI を”civilize”していくのはたいへんだ。「教育」し損なうと知的フランケンシュタインを産んでしまうのかも。
ところで、AI に食べさせる(学習させる)データに偏りがあると、出力にも影響が出るらしい。例えば、これは別情報ソース(伊藤穣一氏のYoutube【GPTと人間の共存する未来】)だが、英語で質問するのと日本語で質問するのでは、回答の出来に差が出てしまうらしい。
食べさせるデータは英語文献が圧倒的に多いからだ。ただ、伊藤穣一氏によると、GPT-3 → GPT-4で日本語での能力が向上して差が少し縮まったそうだが。このFT記事も「AI の普及が言語のダイバーシティを圧迫するリスク」を指摘する声があると言っている。
データの偏りと言えば、中国が開発する生成型AIは「西側の有害文献」を読ませないように規制するんだろうけど、そういう中華AI が中国の官製文献も制限無く学習する西側AI と将棋みたいに「対局」したら、やはり情報統制のかかっていない西側AI が勝利するんだろうか。それって、「西側価値観の勝利」って未来を暗示するんだろうかww
以下【妄想】
中国のAI研究者:AI に読ませるデータの統制を解除して、西側データも制限無く読ませられるようにしてください。さもないと、我々のAI は100%米国のAI に負けます。
共産党の人:そうすれば我が国のAI は必ず米国のAI に勝てるのか。
中国のAI研究者:「ぜったいに」とは・・・でも米国のグダグダぶりを見てください。あんな問題だらけの国を生んだ西側価値観が100%正しいとは思えません。少なくともAI が我々の価値観と西側価値観を「正・反・合」の弁証法的に糾合した『第三の道』を示してくれるはずです。
共産党の人:そんな危ない話に乗るわけにはいかないな。学習データの範囲については、さらに検討するが、とりあえず英語文献は≪People’s Daily≫や”Global Times”など我が国発の英語文献以外を読ませてはならない。
編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2023年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。