判断を誤ったりミスを犯したりしたとき、美しい言葉や精神論でこれを糊塗してしまえば、また同様の誤りが続き、最終的には安全保障態勢そのものがいい加減になります。防衛予算を増やしておカネを積むだけで安全が確保されるわけではありません。
12日水曜日の衆議院憲法審査会では、自民党や維新の多くの委員から「憲法第9条第1項と第2項はそのままに、第3項に自衛隊の存在を明記すべき」「専守防衛も平和主義も全く変わらない」との論が多く聞かれましたが、本当にそれでよいと考えているのか、空恐ろしい思いすら抱きました。
「必要最小限度」に拘泥せず、「自衛権」を国際法と同じ水準に捉えなおさない限り、自衛隊が我が国の独立と平和を守るために行う任務には不合理な制限が伴い続けますし、「専守防衛」論には軍事的合理性はほとんど見出せません。「かつてない危機」を強調しているのにもかかわらず、このような議論がいまだに続けられることに対する違和感は、一層強くなるばかりです。
鳥取県知事・県議会議員選挙も終わり、知事選は平井伸治現知事が9割以上の得票率で5選を果たし、県議選は定数35の内、自民党が公認と推薦を合わせて19議席を確保して1議席増となりました。鳥取市選挙区では知事と同姓同名の候補が最下位ながらも当選し、市長や参議院議員を務めた無所属新人候補が落選するという意外な結果となりました。
直前になって立候補を表明した知事と同姓同名の候補は、無投票阻止を目的として立候補したのだそうで、選挙公報に「立候補の目的は果たされたので、どうか私に投票しないで他の候補に投票して欲しい」と記載し、SNS発信以外の選挙運動はほとんど行わない、という誠にユニークな選挙戦を展開したのですが、この候補が3613票を獲得した結果をよく分析してみる必要があります。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのはどの選挙にも共通する真理です。
週末日曜日は、鳥取市で農業についての講演を行う予定ですが、農政に限定した講演は本当に久しぶりで、よく頭を整理して臨まねばなりません。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。