NANZUKAは、空山基(そらやま はじめ)氏の新作個展「Space Traveler」を開催する。会場は、渋谷区神宮前の「NANZUKA UNDERGROUND」、渋谷パルコにある「NANZUKA 2G」、中目黒の「3110NZ by LDH kitchen」の3会場だ。

インスタレーションやCG映像、絵画作品などを通じて、“人間の身体性を超えた未来”について想像を巡らせてみよう。

未来を空想させる多様な作品を3会場で展開

人体と機械の美を追求する同氏は、「セクシーロボット」シリーズでその名を世に知らしめた。女性の人体美をロボットに取り込んだ表現で、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えたと言われている。

身体性を超えた未来を考えさせる作品

今回の個展では、“人間の身体性を超えた未来”という仮想の物語を提示。人の知性とはなにか、身体とはなにか、時間とはなにか、といったテーマが相互に絡みあう作品は、見る者の空想力や創造性を刺激し、人のようで人ではない存在、人の時代以後の世界を思い描かせる。

また、テクノロジーが身体の限界を超えて永遠の生をもたらすことはあるのか、人工知能が人と共存する未来が訪れることはあるのか、といった問題提起を暗示しているとも読み取れるだろう。

3会場で多様な作品を展示、エディション作品の限定販売も

メイン会場となる「NANZUKA UNDERGROUND」では、新作のヒューマンスケールサイズのロボット彫刻作品による大規模なインスタレーション、同氏初となるCGテクノロジーを駆使した映像作品、近年精力的に取り込んでいる大型のキャンバス絵画作品を展示。

「NANZUKA 2G」と「3110NZ by LDH kitchen」では、同シリーズの彫刻作品およびペインティング作品を発表する。

また、同展に合わせてエディション作品「Space Traveler 1/6 scale」が限定販売される予定だ。

現代美術の異端的存在、その理由は?

同氏は、ソニーが開発した「AIBO」のコンセプトデザインや、エアロスミスの「Just Push Play」(2001)のアルバムカバーなどを手がけた。近年では、キム・ジョーンズ氏と手がけたDior Menとのコラボレーションが大きな話題を呼んだ。

今や国内外で伝説的な存在となっている同氏だが、現代の美術の正統からは異端の存在だという。女性のヌード像を描いたり、政治的・宗教的タブーにも切り込む作品を生み出したりする彼のチャレンジングな作品表現が、そうさせたのだ。

2020年に開催したNANZUKAでの個展「Sex Matter」では、アートにおける性の問題をロボットを通して表現するという作品にチャレンジ。一見すると奇妙な図式だが、世の中に男と女(オスとメス)がいることによって知的な生命が誕生するという事実を、逆説的に強く明示した。

同氏は、「黙る事より語る事で問題は解決されるべきだ」と確信しているという。そのために、時に子供のようにイノセントであろうとし、その結果、異端ともいわれる作品を数々生み出している。

そんな彼の作品を通して、自分なりの未来を想像してみては。

Space Traveler
会場1「NANZUKA UNDERGROUND」
所在地:東京都渋谷区神宮前3丁目 30-10
会期:4月27日(木)~5月28日(日)
時間:11:00~19:00
休業日:月曜日、火曜日

会場2「NANZUKA 2G」
所在地:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2階
会期:4月27日(木)~未定
時間:渋谷パルコに準ずる

会場3「3110NZ by LDH kitchen」
所在地:東京都目黒区青葉台1-18-7
会期:4月26日(水)~5月27日(土)
時間:水・木曜11:00~16:00/金・土曜11:00~17:00
休業日:日曜、月曜、火曜、祝日

NANZUKA HP

(Higuchi)