3月18日(土)~19日(日)に佐賀県で開催された『ジャパンクラシックパワーリフティング選手権』(以下、ジャパンクラシック)で男子74kg級で宇都木悠選手(28)がトータル750㎏(スクワット272.5㎏、ベンチプレス175㎏、デッドリフト302.5㎏)の日本記録を樹立し、優勝を果たした。1年間で40~60kgのペースで記録が伸びている注目のパワーリフターの記録向上の秘訣を探った。
ジャパンクラシックは公益社団法人日本パワーリフティング協会が主催するノーギアの国内最高峰の大会。今年のジャパンクラシックの男子74kg級では、日本記録の745kgを保持する比嘉善浩選手と、2019年チャンピオンの宇都木選手の対決に注目が集まった。
宇都木選手は試合前からの「比嘉選手の持つ日本記録を樹立して優勝する」という宣言通り、見事トータル750kgの日本新記録を樹立し、2度目の優勝を果たした。今回の優勝について宇都木選手は「セコンドに佐竹(優典)さんがついてくれて日本記録更新のための重量選択ができた」と勝因を分析している。
また、1年間で40~60kgほど記録を伸ばした練習プログラムの構築法については「大原(友海)くんから『THE MUSCLE & STRENGTH PYRAMID』という通称『青本』を勧めてもらいました。英語版を翻訳しながら、その本に書かれていることを吸収し、練習で実践するようになりました」と解剖学的な理解から補助種目の選択などを考えて記録を伸ばしたことを明かした。
「2~3年のうちに世界一になる」と目標を掲げる宇都木選手は自身の伸びしろを理解し取り組んでいる。 「スクワットはフォームの安定性が課題なので、そこを改善してくことで伸びていくと思っています。ベンチプレスはやりたい動きができてきたので今後が楽しみです。デッドリフトは、ジャパンクラシックではグリップが弱点で重量が止まっているのをより痛感したので、グリップの強化に取り組んでいます」
パワーリフティング界では“世界チャンピオンになる選手”としての呼び声の高い宇都木選手。日本記録を樹立したばかりであるにも関わらず、次を見据えて課題に取り組む姿に“強さ”を感じざるを得ない。
取材:FITNESS LOVE 撮影:伊差川浩之