ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、恒例の夜のビデオ演説で国民に忍耐を呼び掛けた。同大統領は前線の困難な状況に言及し、「私たちは今、私たちの社会と私たちのパートナーが今後の道筋を見失わないようにすることが重要な段階に立っている」と説明し、「昨年と比較して、多くの場所で戦いが静まっているが、それは、戦争を無視し、国家を助けることにあまり集中しなくてもいいといったことを意味するのではない。道はまだ私たちの前にあるのだ」と強調した。

ゼレンスキー大統領、国民に忍耐を呼び掛ける(2023年4月11日、ウクライナ大統領府公式サイトから)

昨年の「復活祭」の礼拝に参加したウクライナ兵士(バチカンニュース2022年4月24日から、オデーサ)

ロシアによる侵略戦争が始まってから1年以上が経過した現在、ウクライナ軍はいま、特にバフムート周辺の東部で圧力を受けている。ウクライナ軍の占領地奪還のための春の攻撃はまだ保留中だ。米紙ワシントン・ポストによると、米国はウクライナ軍の春の軍事攻勢計画の成功に疑問を持っているという。

ゼレンスキー大統領はこれまでクリミア半島を含むロシア軍の占領地を全て奪還するまで戦い続けると何度か表明し、ロシアのプーチン大統領との停戦交渉については拒否の姿勢を保ってきた。しかし、ここにきて米国を含む欧米諸国のパートナーのウクライナ支援がいつまで続くかといった問題が現実味を帯びてきた。例えば、米国の政界と国民の最大関心事はウクライナ支援ではなく、2024年の大統領選挙の行方だ(「ウクライナ戦争と『24年選挙イヤー』」2023年2月22日参考)。

ところで、ウクライナを始めとして世界の正教会では今月16日、復活祭を迎える。「私たちは2回、復活祭を祝います」とウィーンのウクライナ東方帰一教会の聖職者がオーストリア国営放送のインタビューで答えていた。4月9日は新旧キリスト教会の復活祭だった。その1週間後の16日、正教会の復活祭が行われる。多くのウクライナ正教徒にとっては、ロシア軍のウクライナ侵攻以来、戦時下の2度目の復活祭となる。