中古車販売業者が使う隠語、いくつ知ってる?

どの業界にも見られることですが、業界人にのみ伝わる隠語が存在します。“同業の間で話をスムーズに進めるため”“お客さんの前で言いづらいことを社員に伝えるため”など、言葉が生まれた経緯はさまざま。
たとえば中古車業界は、中古車の売買をおこなう上で隠語が必要なシーンが多い世界でもあります。状態の良し悪し、改造の具合、出所の確かさ…。どれもお客さんの前で直接言葉にすると、トラブルに発展しかねないものばかりです。
中古車業界で使われている隠語をいくつかご紹介します。
「セコハン」「レモン」は買っちゃダメ?

最初に紹介するのは「レモン」という隠語。使うシチュエーションとしては、車の状態を指して「あの車はレモンだから、売れたらラッキーだね」といった具合です。
「レモン」は主に海外で使われていた隠語で、“状態が良くない中古車”という意味。どうして「状態がよくない=レモン」なのかというと、「レモンは皮が厚いので、皮を剥くまで中の状態がわからない」というところから来ているそう。
もちろん販売業者は中身をしっかり点検しているので、中身がどうなっているのかは把握しています。そのため外見には傷などがなく、一見状態が良さそうだけど中身は劣化している車を「レモン」と呼んでいたのですね。
ちなみに同じく“状態が悪い中古車”という意味で、「セコハン」という言葉が使われていた時期もありました。しかしセコハンはSecond Hand(中古という意味)の略であるため、現在は状態にかかわらず「中古車=セコハン」という使われ方をしています。
いまはすぐに情報がネットで広まる時代ですから、「レモンカーを高く売ってやろう」なんて悪質な業者は少なくなったはず。しかし、もし中古車を買う時に「レモン」という単語が聞こえてきたら、ちょっと警戒したほうがよさそうです。
「てんぷら」は違法!試乗の際は要注意

見た目じゃわからない、ということを語源にした隠語は他にも。たとえば「てんぷらナンバー」という隠語は、“一見して問題ないように見える違法なナンバー”のことを指します。
別の車で取得したナンバープレートを、ナンバープレートがない車に差し替えて使うのが「てんぷらナンバー」。運輸支局に未登録のためナンバープレートを持っていない車両を、登録済み車両のように装う手口です。コロモで包まれて中身がわからないてんぷらのように、パッと見では普通にナンバープレートがついている車に見えることから名前がついた様子。
もちろん運輸支局に登録して発行されたナンバープレートがない自動車は、公道を走ってはいけません。ナンバープレートの付け替えも当然違法で、捕まれば3年以下の懲役または100万円以下の罰金、場合によってはその両方を命じられることも…。
中古車業者のなかには買い上げた中古車のナンバープレートを運輸支局に返納し、自動車税の負担を軽減するケースがあります。しかしナンバープレートを返納している車は試乗に応じられません。そのために一部の悪質な業者の間で使われていたのが「てんぷらナンバー」だったようです。
もし中古車を売買する際、「てんぷらナンバーで試乗してみますか?」と聞かれたら間違いなく断りましょう。「なんだかよくわからないけどお願いします」と言ってしまったが最後、違法行為に加担することになってしまいます。
もはや死語?ホントに使ってる?中古車業者に聞いてみた

実際に現在でも隠語を使っているのかを確認するため、地域の中古車販売業者に取材を申し込んでみました。しかし中古車業界の中でも、「レモン」や「てんぷら」といった隠語を使っているのは極少数。それも、若い会社であればまったく聞いたことがないという話が多数派でした。
たしかに専門用語・隠語には「業界以外の人には知られたくない」内容を包んだ言葉が多いものです。後ろ暗い販売をおこなっている業者が少なくなっている現在、こうした隠語を用いて会話をする必要がなくなったのかもしれません。
御年63歳の代表が務める中古車販売会社にお話を伺ったところ、やはりあくまで昔の話ということでした。
「てんぷらとは、懐かしい響きです。あとはマニュアル車のことを『カキマワシ』と言ったりね。でももうずいぶん使ってないし、若い人はさっぱり知らないでしょう。
この業界も昔は悪質な業者が多くて、不良品をどうにか高値で掴ませようと躍起になっている人が多かった。だから隠語を使ってる人が多かったんですよ。新車ディーラーが新車を横流ししたり、ポンコツを見てくれだけ綺麗にして販売したり…。
いまはそういったことができなくなって、中古車業界もずいぶん健全化しました。だからこうした隠語は、もう63歳になる僕ら世代の人がギリギリ知っているだけじゃないかな。ただてんぷらに関しては、いまもやってるやつがいるから注意ですね」
中古自動車販売の業界が健全化したことで、薄れていった隠語の必要性。しかし「てんぷら」など、いまも使われている用語は存在しているようです。もし耳にしたら、きちんと意味を思い出せるようにしておきましょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
【関連記事】
・【新車情報カレンダー 2021~2022年】新型車デビュー・フルモデルチェンジ予想&リーク&スクープ
・運転免許証で学科試験の点数がバレる?意外と知らない免許証の見方
・今一番危険な車両盗難手口・CANインベーダーとは?仕組みと対策方法
・SNSで話題になった”渋滞吸収車”とは?迷惑運転かと思いきや「上級者だ」と絶賛
・トヨタ 次期型ノア&ヴォクシーに関する最新リーク情報すべて