大丸福岡天神店本館6階のアートギャラリーにて、「ジャポニズムの世界 浮世絵版画とアール・ヌーヴォーのガラス展」を、4月12日(水)~18日(火)の期間開催する。

この機会に、“ジャポニズム”で繋がった日本の浮世絵と、アール・ヌーヴォー期を代表するガラス工芸作家、エミール・ガレとドーム兄弟の作品の数々を堪能してみては。

歌川広重「冨士三十六景 東都飛鳥山」1858(安政5)年

歌川広重「冨士三十六景 東都飛鳥山」1858(安政5)年

西洋の芸術家たちに大きな影響を与えた浮世絵

江戸時代に飛躍的に発展を遂げた木版画芸術、浮世絵。

海を越えた浮世絵は、斬新な色彩、モチーフ、デザインで人々を魅了してきた。そして1867年のパリ万博に多数作品が展示されると、“ジャポニズム”ブームを巻き起こし、印象派の画家をはじめとする西洋の芸術家たちに大きな影響を与えた。

フランス ナンシー地方で活躍していたガラス工芸家エミール・ガレやドーム兄弟もその例にもれず、作品の中にジャポニズムの影響を見ることができる。

川瀬巴水「房州浜萩多聞寺」1934(昭和9年)

川瀬巴水「房州浜萩多聞寺」1934(昭和9年)

歌川広重「六十余州名所図会 筑前 筥崎 海中の道」1855(安政2)年

歌川広重「六十余州名所図会 筑前 筥崎 海中の道」1855(安政2)年

「憂き世」から逃れて楽しく暮らそう

浮世絵の「浮世」は「憂き世」から逃れて楽しく暮らそうとする風潮を表す言葉。その画題は美人、風景、役者などの身近なものから歴史、伝説などテーマは多岐に渡っている。

当時の生活や風俗の流行を描いた浮世絵は、江戸の人々の生活とともにあった。また独特の構図や画法、色彩で描かれた浮世絵は、西洋の人々の注目を集めた。

ヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動であるアール・ヌーヴォー。

「新しい芸術」を意味するこの様式は、花や昆虫など自然のモチーフや、自由曲線の組み合わせによる従来の様式にとらわれない装飾性が特徴。

ガレ「ナスタチウム文花器」1900年頃

ガレ「ナスタチウム文花器」1900年頃

ガレ「薔薇文花器」1910年頃

ガレ「薔薇文花器」1910年頃

建築、工芸、グラフィックデザインなど様々な分野で展開したが、特にガラス工芸の分野で脚光を浴びたのがエミール・ガレとドーム兄弟だ。

ドーム「スミレ文鉢」1895~1900年頃

ドーム「スミレ文鉢」1895~1900年頃

ドーム「ナナカマド文テーブルランプ」1920年頃

ドーム「ナナカマド文テーブルランプ」1920年頃

彼らは、日本美術から自然に向き合うことを学び、様々な表現方法を試みた。

ドーム「ポピー文花器」1910年頃

ドーム「ポピー文花器」1910年頃

日本が誇る芸術であり、今もなお国内外に多くのコレクターを持つ浮世絵と、エミール・ガレとドーム兄弟の技巧を凝らした作品が織りなす美の世界を楽しんでみては。

ジャポニズムの世界 浮世絵版画とアール・ヌーヴォーのガラス展
開催日時:4月12日(水)~18日(火)午前10時~午後7時※最終日は午後4時閉場
会場:大丸福岡天神店本館6階アートギャラリー
所在地:福岡県福岡市中央区天神1-4-1

(角谷良平)