“バズる”広告の裏側
バーガーキングは広告の手法も独特だ。その独自のプロモーションがSNS上で“バズ”り、全国に認知を広げている。
たとえば19年12月、「下北沢店」が新規開店の準備を行っていた際、窓一面にTwitter上の画面をプリントした広告を掲示した。そのTwitter上の画面とは、消費者が投稿した「バーガーキング下北沢店作ってくれや」というツイートと、バーガーキング公式アカウントによる「作ってんで! オープン初日にお待ちしています。」というリプライを映したスクリーンショットだ。その広告を見つけたお客が写真を撮ってTwitterに投稿すると、「面白い」とたちまち話題になりさまざまなニュース媒体に取り上げられた。

「(当社は)広告予算は少ないが、知恵はある。まだ十分なブランド認知がない中、どうしたら少しでも多くの人にバーガーキングを知ってもらえるかを念頭に置き、効果的な広告アイデアを考えている」(野村氏)
Twitterで話題になった広告はもう一つある。20年1月、秋葉原店の近隣にあるマクドナルドの閉店に伴い、秋葉原店の店頭に掲げた垂れ幕だ。一見すると長年しのぎを削ったライバル会社に対して労いと感謝の気持ちを込めたメッセージに見えるのだが、その文章を縦読みすると「私たちの勝チ」と読める。

この広告について野村氏は「どう解釈するかはお客さま次第」とおどけた口調で話し、続けて「当社はTwitter上に流れる情報を日々観察している。誰かを傷つけかねない言葉は使わず、リスク管理をしっかりとした上で、広告に遊び心や面白さを加えていくことが大切だと考えている」と述べる。
年間50店舗のペースで新規出店を予定
バーガーキングは今後の出店戦略として、2028年末までに500店舗体制をめざす。単純計算で年間約50店舗の出店ペースとなる。そのうえで重要な施策として位置づけるのが、2021年より強化し店舗数を増加させてきたフランチャイズ店のさらなる拡大だ。野村氏は「全国からフランチャイズオーナーをやりたいという問い合わせを多くいただいており、順次対応していく」と述べる。
続けて野村氏は「新しく出店するたびに、Twitterで想像以上の反響をいただき認知度の向上を実感する。これは出店戦略に向けて大きな自信になっている」と語る。バーガーキングの出店戦略の目標達成まではまだ遠い道のりだが、こだわりの商品とユニークな広告を武器に躍進は続く。
提供元・DCSオンライン
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