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朝日連峰は登山口、下山口までのアプローチが大変だが、山小屋は利用しやすいというメリットも。いずれにせよ、出発前に自分の行動をシミュレートし、綿密な計画を立てておきたい。
文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉加戸昭太郎 Photo by Shotaro Kato
取材期間:2016年10月12日~14日
出典◉PEAKS 2017年10月号 No.95
深くて遠く、アクセス至難!
タクシーを利用しなければ登山口に移動できず、街へ出るのも困難になるのが、紅葉時期の朝日連峰の問題だ。だが、ひとたび山中に入ってしまえば、飲み水には困らず、各所に山小屋があって、思いのほか便利な山域でもある。
ただし、朝日連峰の山小屋は、通年もしくは夏季以外は管理人がいない無人小屋。物品の購入はできず、トラブルの際に助けを求めることもできない。自由に使え、どこもおおむね清潔だが、便利さと不便さが共存した東北らしい山文化なのである。
管理協力費を支払ったうえできれいに使い、立ち去る際には掃除をしよう。最高峰の大朝日岳は標高1,870mだが、日本アルプスでいえば3,000m 峰級の気象条件だ。秋でも降雪や寒さ対策を万全に行ないたい。
データ
- 総距離:約37㎞
- 総歩行時間:約19時間(1日目:約3時間、 2日目:約7時間30分、 3日目:約8時間30分)
- 1日目:泡滝ダム 大鳥登山口~大鳥小屋
- 2日目:大鳥小屋~オツボ峰~以東岳~狐穴小屋~寒江山~竜門小屋
- 3日目:竜門小屋~竜門山~西朝日岳~大朝日岳~小朝日岳~鳥原山~朝日鉱泉
アクセス
今回の大鳥池登山口までのバス便は夏季のみ。紅葉の時期は鶴岡などからタクシーを使うのが現実的だ。下山口の朝日鉱泉も同様で、タクシーで左沢や山形に出るしかない。交通費がかさんでしまうのが少々痛い。
マップ
①登山届は、大鳥小屋を管理している朝日屋旅館に提出。登山口からかな離れた集落にあるが、タクシーで向かうと一時停車してくれる。
②登山口からは、東北の山らしくて瑞々しいブナ林が続き、目を楽しませてくれる。冬場の大雪が想像できる、水が一年中豊かな土地なのだ。
③大鳥池の周囲は深い森。イワナなどの釣りは可能だが、遊漁料の支払いや禁漁期は忘れないように。ちなみに今回の10月は禁漁期にあたる。
④大鳥小屋から以東岳にはルートがふたつ。眺望がいいのは今回の稜線ルートだが、池のほとりを長く歩く「直登コース」も捨てがたい。
⑤以東岳と西朝日岳を結ぶ稜線は、とても広い。気持ちのよい区間だが、悪天候時は道を見失う可能性もあるので気を付けて歩いてほしい。
⑥今回は利用しなかったが、ルート上の狐穴小屋でも宿泊できる。数年前の地図には以東小屋も記載されているが、現在は解体されたので注意。
⑦2階建ての竜門小屋は清潔で快適。水場も小屋のすぐ前にあるので、非常に便利だ。週末などは混み合うこともあり、マナーを忘れずに。
⑧各地でおいしい水が湧き出しているのが朝日連峰のよさ。この銀玉水も名水のひとつで、見た目は若干無粋だが、まろやかな味が楽しめる。
⑨広々とした山頂をもつ小朝日岳からの景色もすばらしい。この先の鳥原山には鳥原小屋もあり、そこで3泊目をするのも悪くない。
⑩下山口には朝日鉱泉があり、立ち寄り湯も可能。下山時間を逆算し、ルート上の山中からタクシーを呼んでおくと、ここからスムーズに帰れる。
アドバイス
山域のほとんどの山小屋は、夏季以外は管理人不在。管理協力費を小屋内のボックスなどに収めつつ、就寝具や自炊用具を持参して宿泊する。テント泊ができるのは大鳥小屋前だけだが、水場やトイレもあって快適だ。
出典 PEAKS 2017年10月号 No.95
CREDIT :
文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉加戸昭太郎 Photo by Shotaro Kato
取材期間:2016年10月12日~14日
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
提供元・FUNQ/PEAKS
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