会社員の鈴木脩平(32)さんは長年運動やトレーニングを続けていたある日、ボディコンテストへの出場を勧められ、ダイエット(減量)を始めた。しかし、3カ月という短い時間で「食べない」ダイエットを行った結果、身体に様々な不調が表れた。
「社会人になりゴールドジムに通っていましたが、頻度やトレーニング強度は低いものでした。あるとき、ゴールドジムのスタッフさんや会員さんから、ボディコンテスト(マッスルゲート)への出場を勧められ、せっかくなら一度くらい出てみようかと思い、2021年5月1日からボディメイクを始めました」
学生時代はサッカーやフットサルなどをし、大学院進学から大学のトレーニングサークルに入部していたという、いわゆる“体育会系”の鈴木さん。社会人になりゴールドジムに通い始めたものの筋肉に脂肪が乗っていて、“大会オフ期間”のような身体だった。当時の体型は身長173cmに対して体重は85kg。
「おいしいご飯屋さんを探すのが趣味で、毎週末、友人と食べ歩いていました。普段の食事でも『食べないと筋肉がつかない』と考えていたため、毎日、白米を食べすぎていました。また、デパ地下グルメやケーキなど、どんなお店にどんなものがあるのかと、ワクワクするので会社帰りに寄り道をしたり、頻繁においしそうなものを買って帰っていました。当時は太っている自覚はありませんでしたが、後に写真を見返してとこんなに脂肪がついていたのか!と驚きました」
まずは食べ過ぎていたお米をはじめとする炭水化物を減らすことから始めた。トレーニングはこれまで通り行い、扱う重量はだんだんと上げるようにしていた。
しかし、大会が近づくにつれ減量が加速。プレッシャーからか、鈴木さんは危険な減量を行ってしまった。
「炭水化物に加えて脂質も削り始め、どんどんカロリーを摂らないようにしてしまい、大会2カ月前では1日1300kcalほどしか摂っていませんでした。しかも大会1カ月前になるとお腹が空かなくなってきたので『身体が慣れたんだな』『お腹が空かないなら楽だな』と思っていました……。しかし、思い返せば身体の不調がありましたし、筋肉を削ぎ落としていたのだと思います。それでも、昼休みに会社周辺をウォーキングするなど、身体は動かすようにしていました。チートデイを作るのは『甘え』だと思ってしまっていました。トレーニングの重量は向上を目指していましたが、終盤は結局、使用重量が下がってしまいました」
明らかに栄養不足だが、仕事中はコーヒーを飲むなどして食欲をごまかし続けた。その結果、仕事帰りの最寄り駅から歩く家までの距離ですら、つらいと感じていたという。
「『この日までに落とさないといけない』という目標を持って行っていました。ダイエット中なのだからお腹が空くのは当たり前ですし、食べたい欲求と除脂肪が進まないことを天秤にかけてどちらを選びたいかを自問自答した結果、『食べない』選択をしていました。何事も全てやりたいようにはできないので、何かしらの犠牲はあると改めて理解しました」
2021年8月、マッスルゲートに出場した鈴木さん。トレーニング開始時点で85kgあった体重は70kgと、わずか3カ月という短期間で15kgも減量した。しかし、鈴木さん本人も、初めての減量は『カロリーを摂らなすぎた』と反省している。
今回の例は決して真似してほしくないものとして紹介した。みなさんには、トレーニングをすることは心と身体が健康でいるための手段に過ぎないということを理解した上で、健康第一の身体づくりを目指していってほしい。
取材:FITNESSLOVE編集部