猛毒魚まで美味しく食べる魚食大国日本で、まとまった量の漁獲があるにも関わらず、食用にされずにほぼ全量が輸出されてしまう魚がいます。

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日本では厄介者扱いだけどお隣韓国では積極的に食される「ウナギ」とは?

魚介消費量が減少中

「日本人は魚を食べなくなった」と言われるようになって久しいです。実際のところ、2022年度の一人当たり魚介類消費量は約23kgとなっており、これはピークであった2001年と比較すると6割未満の数値となっています。

日本では厄介者扱いだけどお隣韓国では積極的に食される「ウナギ」とは?魚の干物(提供:PhotoAC)

世界ランキングでも14位となっており、年々その順位は下がっています。ただし、このランキング上位の国にはアイスランドやノルウェーのような北欧諸国、ミクロネシアやセーシェルと言った島嶼国家などが多く、いずれも人口規模は日本を大きく下回ります。

そのため国全体での消費量合計ではまだ日本はトップクラスと言えます。

日本でしか食べられない魚

そんな”魚食大国”日本は南北に長く、世界屈指の海岸線延長を持つため、各地に様々な魚食文化があります。また様々な海洋環境をもつことから水揚げされる魚の種類も多く、「他国ではあまり食べないが日本ではよく食べられている」という魚も少なくありません。

そのようなものの代表がフグでしょう。猛毒であるフグを食べることは海外からは驚きを持って見られることが多く、世界の危険料理ランキング1位に輝いたこともあります。

他にもギンポやメゴチ(ネズミゴチ)のような小さくぬめりのある魚を、丁寧に処理して食べるというのも日本以外にはあまり見られないようです。

日本では食べない魚

日本では厄介者扱いだけどお隣韓国では積極的に食される「ウナギ」とは?サバヒーのおかゆ(提供:PhotoAC)

一方、その逆に「日本では食べないが外国では食べられている」魚ももちろんあります。

有名なのがサバヒー。東南アジアで広く養殖されており、食用魚として一般的な魚である一方、日本ではほとんど知名度がなく、食用にされることもありません。

これはサバヒーが南方系の魚であり、日本国内では天然個体の水揚げがほとんどないことが理由でしょう。

海外では高級魚な「ヌタウナギ」

さて、このような「日本ではあまり食用にされない」魚ながら、海外では食用にされるどころか高級品となっているものがあります。それは「ヌタウナギ」。

ヌタウナギはたいへん原始的な魚の一種で、名前とは裏腹にウナギとは見た目も味も大きく異なる種です。彼らは見た目が悪いこと、粘液を多く出すこと、またアナゴ漁の際にいっぱい獲れてしまうことから、日本では長らく邪魔者扱いされていました。

日本では厄介者扱いだけどお隣韓国では積極的に食される「ウナギ」とは?ヌタウナギ(提供:PhotoAC)

韓国では人気食材

しかしこのヌタウナギ、お隣の国韓国では大変人気のある食材です。当地ではこれを丸焼きにしてコチュジャンをつけて食べる「コムジャンオ」という料理が親しまれており、旺盛な需要があります。

またヌタウナギの仲間には、その皮を加工し「イールスキン」という皮革にできるものがあります。イールスキン製品は独特の質感があり、財布などに加工されたものは高級品です。

そのため最近では、日本の漁師もヌタウナギを狙って漁獲するようになっています。そして水揚げの大多数は国外へ輸出されるといいます。前記のサバヒーと異なり、日本国内で採れるのに食べられていないという点で、ヌタウナギは珍しい存在だと言えるでしょう。

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<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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