2021年12月にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の運用が開始されて以来、常識を覆すような発見が続いています。

中でも注目されているのが、ビッグバン後のかなり早い時期に巨大な銀河が見つかったというものです。これは宇宙がどのように進化したかの理論を揺るがすものです。

そして新しく、観測史上最も古い4つの古代銀河を発見したとの報告がもたらされました。

これらの銀河を扱った2つの研究によると、4つのうち最も古い銀河は、ビッグバンから3億2000万年後にできたものであり、太陽質量の1億倍程度で規模は小さいが、宇宙初期の銀河としては驚くべき速度で星形成がされているという。

研究の詳細は、2023年4月4日付の科学誌『Nature Astronomy』に2本の論文(リンク1、リンク2)で掲載されています。

JWSTが観測史上最も古い4つの銀河を発見

高性能なジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、私たちに新たな知見をもたらしています。

例えば、2023年2月には、ビッグバンからわずか5億~8億年後に出現した大質量銀河を6つも発見しました。

ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡の性能が凄すぎて「ビッグバン宇宙論」が修正を迫られる

これら銀河の質量は太陽質量の1000億倍だったため、銀河の誕生後にかなり急速に成長したと考えられます。

ところが、その成長速度は現行の理論ではありえないため、研究者たちは、新しく発見された大質量銀河の存在が「現在の宇宙論モデルと99%矛盾している」と述べ、大きな話題を呼びました。

そのため多くの人々は、この発見が単なるミスなのか、それとも宇宙論に修正をもたらすものなのか、今後の解明を期待しています。

そんな中、JWSTが「新たに4つの銀河を発見した」と報告しました。

観測史上最も古い銀河が発見される
Credit:B. E. Robertson(University of California)et al., Nature Astronomy(2023)(PDF)

これは、これまでに観測された中で最も古い銀河となり、地球から130億光年以上の領域、つまりビッグバンから3億~5億年後に誕生したものと推定されています。

これら4つのうち最も古い銀河は、ビッグバンから3億2000万年後に誕生しています。

これは、ビッグバンによる暗黒時代が過ぎた後に、宇宙にある物質が再電離を引き起こしたタイミングであり、宇宙の初期の天体が誕生した「宇宙の夜明け」とも呼ばれている時代です。

では、発見された古代銀河はどのような性質を持っていたのでしょうか?