栄養ドリンクのCMで有名な栄養素「タウリン」。我々の元気の素として認識されていますが、じつは魚にとっても欠かせない栄養素です。
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「元気!」に欠かせないタウリン
栄養学に詳しくない人でもおそらく知っている、知名度の高い栄養「タウリン」。栄養ドリンクに含まれる有効成分の、代名詞ともいえる存在です。
タウリンはアミノ酸の一種で、脂肪を分解する役割を持つ「胆汁」の生成や神経系の伝達、細胞の浸透圧の調整、肝臓における解毒作用の補助など幅広い身体機能を助ける役割があります。
また、そのメカニズムは不明の部分があるものの、タウリンを摂取すると有酸素運動能力が向上したり、疲労感の軽減が起こったという研究報告もあります。栄養ドリンクに配合されるのはそれが理由です。
タウリンたっぷりの魚介類
そんなタウリンがたっぷり含まれている食材が魚介類。イカやタコ、貝類などの軟体類には特に多く含まれています。
そのほか甲殻類や魚類にも含まれていますが、魚類の場合は内臓に多く含まれるという特徴があります。加えてタウリンは水溶性で、茹で汁などに容易に溶け出すので、アラ汁などから多く摂取することができます。もちろん内臓ごと丸ごと食べられる干物や缶詰などもタウリン摂取には望ましいと言えます。
これらの魚介類を食べれば、栄養ドリンクからタウリンを摂取する必要はないほどに摂取することができるでしょう。
実は魚たちもタウリンを必要としている
さて、我々の健康や元気に欠かせないタウリンですが、実は魚たちにとっても欠かせない栄養素であることが近年わかってきました。
現在、海水魚の養殖において、飼料にタウリンを添加するのが基本となっているそうです。飼料中にタウリンを入れない場合、ヒラメでは摂餌行動に異常がでる、マダイでは日焼けと言われる黒色化の程度がひどくなるといった負の影響が出ることがわかっています。
淡水魚は体内でタウリンを生成することができるそうなのですが、海水魚はその能力が低いため、自然環境下では彼らは甲殻類や軟体動物を捕食し、そこからタウリンを得ていると考えられています。
いわば、イカやタコは海水魚にとっての栄養ドリンクのようなものなのかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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