全身麻痺を乗り越えた元警察官ボディビルダーが伝えたいこと
(画像=『FITNESS LOVE』より引用)

マッスルゲート兵庫のボディビル75kg以下級で山本昂希選手(28)は見事に発達した大胸筋、腹筋を披露し、優勝を果たした。

ボディコンテストの登竜門として知られる「マッスルゲート」。2023年2月12日、開幕戦となった「マッスルゲート兵庫」のボディビル75kg以下級で優勝した山本選手は一昨年、全身麻痺から復活したばかりだった。
「大阪府警で警察官をやっていた頃、遺伝的要因から脳卒中を患い、1週間ほど全身麻痺の状態になりました。その際にベッドの上で『いつ死ぬのか分からない。生きている間に何か残したい』と考えるようになったんです」

筋トレを10年間続けていた山本選手は「筋トレで日本一になりたい」とボディビルをやることを決意したという。

山本選手は1ヶ月ほどのリハビリで回復。医師からは「筋トレで鍛えていた分、筋肉の戻りが早かったのかもしれません」と言われたという。

入院生活で筋肉量は7kgほど落ちてしまったというが、トレーニングが再開できる喜びから今まで以上に筋トレに打ち込んだ山本選手。
「体調のこともありましたので警察官をやめてトレーナーへ転職しました。全身麻痺で落ち込んでいた気持ちを回復させてくれた筋トレの魅力を広めるためにも、トレーナーという仕事を選びました」

初めての大会となったマッスルゲート兵庫まではしっかりとPFCバランスを保ったままの減量法を行った。
「脳卒中になる直前のダイエットで過度なローファットをしていたので、バランスを崩すことは健康に良くないのでは?と感じていて、栄養バランスを整えた減量をしています」

デビュー戦を勝ち星で飾った山本さんの目標はボディビルの日本大会の舞台で結果を残し、健康的なフィットネスを広めること。
「脳卒中も含めた生活習慣病は、運動不足や食習慣が悪くなることで起きると医師から聞きました。私は、筋肉に勝ち負けはないと思っています。私が今後大会に出るのは、一人でも多くの人が、私のことを知りトレーニングを始めて欲しいからです。そして何らかの病気を持っている人にも立ち上がって欲しいからです。健康じゃないと何も守れません。ぜひフィットネスを始めましょう!」

取材:FITNESS LOVE 撮影:中島康介