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『歴史の終わり』から30年 自由と民主主義への最終回答

フランシス・フクヤマス特別招聘教授(スタンフォード大学)の新刊『リベラリズムへの不満』(新潮社)に巻かれた帯ネームは、そう記す。

あれから30年も経つのか…。多くの中高年読者同様、私も深い感慨を覚える(当時、拝顔の栄に浴した)。

案外知られていないが、『歴史の終わり』の原題は「The End of History and the Last Man」。

原題を直訳すると『歴史の終わりと最後の人間』だが、渡部昇一が日本語訳したタイトルは『歴史の終わり』(三笠書房)である。また『歴史の終焉』のタイトルで言及されることも多い。(ウィキペディア)

そのとおりだが、これらの訳語は、単純な誤解も招いた。上記新刊の「訳者あとがき」を借りよう。

単純な誤解が多いので付け加えるが、「歴史の終わり」とは、時間の流れの中で起きる事件や事変が終わるという意味ではない。フクヤマ自身も指摘するように「終わり(end)」とは終結という意味ではなく、むしろ目標という意味を込めて使っている。