今後のシナリオ
プーチンが戦術核使用に踏み切るのか、踏み切った場合にその後の展開はどうなるか、シナリオは概ね下記の3つだ。
国際的非難と報復を恐れ、そもそもプーチンは核を使えないだろう プーチンが核を使えばロシア国内に反乱が起き政権が倒れ、そのままウクライナ側に有利な停戦が締結される NATOとの核報復合戦が起き、第三次世界大戦に突入する
米英の政権、軍中枢の発言からは、概ね①、最悪でも②を念頭に置いているのが窺われる。しかし、③を現実的なものとして想定しないとすれば、それは正常化バイアスと言える。(中には③も止む無し、若しくはウェルカムというマッドマンもいるかも知れないが)
英国がウクライナに劣化ウラン弾を提供し、プーチンはベラルーシに戦術核を配備する方針を表明する等、事態は奈落に向かっている風情がある。
だが、ここに来てもう1つの選択肢が浮上してきた。サウジ=イラン国交回復の仲介に成功した中国が、ウクライナ戦争の仲介に名乗りを上げている。
今の所、この仲介案は西側からは一顧だにされていないが、第三次世界大戦か、中国の仲介かの究極の選択になった際には、世界の首脳と国民は後者を選ぶだろう。そしてそれは中国の国際的政治力を高め、電脳監視独裁国家による世界覇権の完成を大きく引き寄せる。
筆者は、市場大国の中国が資源食料大国のロシアを属国化し、グローバルサウスを抱え込み、域内共通通貨圏を確立すれば西側は詰むと観ていたが、西側の金融不安も伴いその流れは早まったようだ。
こうして詰将棋のようにつらつら考えて行くにつれ、改めて筆者には、中国を介入させずに一日も早い停戦交渉が行われるべきと思える。
だが今の所その兆しは無い。