コード例を見てましょう
シンプルなコード例を示します。下記はCOBOLによる”HELLO WORLD”のサンプルコードです。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. HELLO.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 MY-TEXT PIC X(40).
PROCEDURE DIVISION.
MAIN-RTN.
MOVE “HELLO WORLD!” TO MY-TEXT.
DISPLAY MY-TEXT.
STOP RUN.
英語のような自然言語で記載されているため、コードは長くなりがちですが、可読性が高いと言われています。サンプルコードの最後3行は手続き文となりますが、翻訳ツールで日本語に翻訳すると意味がある程度理解できます。
“HELLO WORLD!” を MY-TEXT に移動します。
MY-TEXT を表示します。
実行を停止します。
COBOLはどこでどのように使われている?
COBOLは誕生から60年以上が経ち、現役のIT技術でCOBOLより古いものはありません。
C、C++、Java、C#、Python、JavaScriptなど様々なプログラミング言語がありますが、COBOLはこれらの汎用言語よりもずっと先に誕生しており、それらの影響を受けていません。
誕生当初より事務処理計算が得意な言語であり、多くの行政機関や金融、企業はメインフレームと呼ばれるコンピュータ上に膨大な量のCOBOLプログラムを作成してきました。
COBOLは、トランザクション処理などデータを扱う処理で利用されています。例えば、給与計算、年金基金、銀行や保険会社のシステム、ホテルや航空券の予約、工場の生産管理などです。
COBOLは、ファイルやデータベースなどの入力データを取得し、それらを計算し、加工してから、目的の形式で出力します。複数のCOBOLが逐次実行される「バッチ処理」として結合され、スケジュールまたは任意のタイミングでのオンデマンドの「ジョブ」として実行されます。これが、昔から変わらないCOBOLの主要なユースケースです。
1980年代以降、各メーカーからオープンシステムで動くオープン系COBOL製品が登場しました。
例えば、国産メインフレームメーカーのオープン系製品(NEC、富士通、日立)の他、IBM、Micro Focus、オープンソースのGnuCOBOL(国内では opensource COBOL)などがあります。
これらの製品はWindowsやLinuxで動作し、EclipseやVisual Studio CodeでCOBOL の開発をすることができます。
※Visual Studio Codeで opensource COBOL 4J による開発をしているイメージ
それに伴い、メインフレーム上のCOBOLシステムのダウンサイジングやマイグレーション、モダナイゼーションなどの刷新ブームが起き、現在もオープンシステムやクラウドで稼働するCOBOLシステムが多くあります。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「ソフトウェア開発データ白書2018-2019」によると、システム開発の現場(IT企業4,564プロジェクト)で使われている言語として、COBOLは1位のJava(42.7%)に次ぐ2位(13.3%)でした。COBOLは、主要な開発言語として依然として多くの現場で使われています。