先日、シンギュラリティの話題を振ったばかりで申し訳ないのですが、チャットGPTを取り巻く話題が急ににぎやかになってきました。
まず口火を切ったのがフューチャー オブ ライフ インスティチュートというアメリカのNPOで、AIの開発を一時的に中断すべきではないか、という趣旨です。「人間と競合する知性を備えた AIシステムは社会と人類に重大なリスクをもたらす可能性がある」(日経)とありますが、平たく言えば人間がこの技術の進歩について行っていない、だから人間がこれに追いつくまで、半年ほど開発を止めるべきではないか、というものです。

質問に答えるGPT-4 Open AI HPより
また、イタリアが3月31日にチャットGPTの使用を一時、差し止めました。理由はアルゴリズムの訓練のために個人データを使ってよいということにはならないし、同国の規制である13歳未満の子供への使用制限を警告する画面上のプロセスもないことを理由にしています。
その一方でオープンソースAIは我々が今、使っているチャットGPTのバージョンであるGPT3からバージョンアップしたGPT4を3月14日にリリースしました。GPT3がリリースされたのが2020年6月11日ですのでわずか3年弱で更に進化したものが世に登場しているわけです。一方、マイクロソフト社が独占使用しているGPT3ベースのチャットGPTはリリース後瞬く間に全世界を席巻し、その能力に対して賛否両論、間違いがあるなど数多くの指摘も含め、大きな反響があったことは否めません。
GPT4で司法試験をやればトップ10%に食い込む能力を備えているというのでレベルははるかに進化しているのでしょう。これらが上述のアメリカのNPOからの反対の声であり、そこにはイーロンマスク氏も名を連ねているわけです。「これはヤバいぞ!人類に想定外の影響が出てしまう」と。
同様にアメリカのAIデジタル政策センター(Center for AI and Digital Policy)もGPT4の商業利用の差し止めをアメリカ連邦取引委員会に要請しました。その内容はGPT4が武器にもサイバーセキュリティ上の観点からも重大なる懸念があると指摘しています。また、GPT4による回答の妥当性の検討が行われておらず、偏向した回答が与えるかもしれない人類への影響は計り知れないものがある、というが趣旨であります。