ごく一部の地域でしか食べられていない食材である海苔。しかし地域によっては非常にユニークな食べ方も存在します。
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海苔生産がラストスパート
3月になり、各地の海苔生産が最後の盛期を迎えています。
主要なノリ品種であるスサビノリは各地で養殖されていますが、いずれも低水温期である10~4月が時期です。水温が1年で最も低くなる3月は、ノリ生産の最後の盛期となるのです。
今年は最大産地の有明海で記録的な不作となり、海苔生産量は過去最低となる見込みです。6月ごろから価格の高騰や品薄が発生するとみられており、我々一般人にとっては海苔を口にしづらい1年となるかもしれません。
海苔の消費のほとんどは東アジア
さて、実はノリは我が国での養殖魚介類のなかで、生産量ベースでは最も多いものです。わが国の漁業において欠かせないものであると同時に、海苔は食卓においても欠かせないものだといえます。
その一方で、海外に目を向けてみても、ノリの養殖が盛んなのはお隣韓国と中国程度。ニュージーランドでも少量生産されていますが、日本と季節が逆であることを生かして日本向けの輸出品生産が主要となっており、国内での消費量は少なくなっています。
つまりノリ・海苔という食材は、生産・消費ともにほぼ東アジアのものと言えるのです。
イギリスで作られる海苔ケーキ
しかし、東アジア以外で唯一といってよい「海苔の消費地」があります。それはウェールズ。
イギリス(UK)を構成する1国家であるウェールズでは、古くからスサビノリを採取し食用にする文化がありました。ただし多くの場合、日本のように乾燥させてから調理するのではなく、刻んだノリを生のままスープで煮てペースト状にしたものをパンに塗って食べる「ラヴァーブレッド」という料理になります。
またこの他、ユニークなものでは「海苔ケーキ」と呼ばれる料理も愛されています。これは我々が想像する甘いケーキではなく、オートミールと海苔を混ぜて水で練って焼いたクラッカーのようなもの。
味はというと、完全に「のり塩クラッカー」であり、その名前とは裏腹に我々にもなじめそうなものとなっています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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