2012年にバーガンディベゼルを携えて初登場した初代のブラックベイは今でもチューダーの中でも最も広く知られ、ひと目でわかるアイコンモデルのひとつだ。その名前を受け継いで2023年に登場した最新作の“ブラックベイ”は、ケースは直径41mmのオリジナルのプロポーションを保ちながらも、より薄型に仕上げられている。
逆回転防止ベゼルの側面はグリップ感に富み、そのインサートには外周リングの輪郭に沿ったわずかにカーブした数字が表示されている。さらに、そのデザイン上のディテールは、ケースのサイズやベゼルだけに留まらない。秒針はチューダーの初期のダイバーズウオッチを彷彿とさせるロリポップ型となり、サテンブラックダイアルはかすかに放射状に広がるブラッシュド仕上げで、直射日光の下で非常に繊細な輝きを放つ。
ブラックベイコレクションは、1950年代に製造されたチューダーのダイバーズウオッチに着想を得た文字盤を備えており、69年のカタログに掲載された”スノーフレーク”の名でコレクターに知られている特徴的な角型の針を採用。プロテクターなしのリューズ、ラグを貫通するラグ穴など、往年の名作を彷彿とさせる要素の幾つかをディテールから見出すことができるだろう。
最新作の“ブラックベイ”に搭載されたマニュファクチュールキャリバーMT5602-Uは、時・分・秒表示を備える。また一般的なチューダーのマニュファクチュールキャリバーの外観と雰囲気に加え、太陽をモチーフにしたデザインが、受け、ブリッジ、ローターなどにレーザーで施された。モノブロックのタングステン製ローターはオープンワーク仕様で、サンドブラスト仕上げのディテールを備える特徴的な放射状の溝がレーザーで施されている。
堅牢性、耐久性、信頼性、そして精度を兼ね備えたこのムーヴメントの可変慣性テンプは、頑丈な両持ち式のトラバーシングブリッジに保持されている。また耐磁性シリコンバランススプリングを備えるほか、MT5602-Uは腕時計として組み上げられた状態でテストした場合、日差が5秒以内(0/+5秒)という高い基準を達成している。
その他の特筆すべき特徴は、マニュファクチュール キャリバー MT5602-Uのパワーリザーブが、“ウィークエンドプルーフ (週末耐性)”を備えていることである。つまり、METASの認定を受けた約70時間のパワーリザーブにより、金曜日の夜に腕時計を外し、月曜日の朝に身に着けたときに再びゼンマイを巻く必要がないのだ。週末の休暇を必要としているときでも、時計はそれを必要としない。デイリーユースの高品質な実用時計として、まさに理想的なスペックを備えたモデルと言えるだろう。
METASによるマスター クロノメーターは、包括的な認証制度として精度、耐磁性、防水性、パワーリザーブなど、機械式時計に求められる主たる機能特性を検査対象としている。その基準は精度一つとっても極めて高く、認定を得るためにはケーシングされた時計の日差が5秒以内(0、+5秒)でなければならない。
これは、スイス公認クロノメーター(COSC)が定めるムーヴメントの状態における日差-4秒から+6秒の基準よりも5秒も厳しい上、チューダーがマニュファクチュールムーヴメント搭載の完成品に対して独自に定める日差-2秒から+4秒という基準よりも、さらに厳格な基準と言える。
この認証制度は、1万5000ガウスの磁場環境にさらされた状態の時計の計時精度も保証する。そして、これはブランドが提唱する防水性能が国際標準化機構(ISO)の規格22810:2010に準拠していることも保証している。また、この認証を得るには、スイス製を名乗る基準を満たしていること、スイス公認クロノメーター検査協会(COSC)の認定を受けたムーヴメントを搭載していること、この二つの条件を満たしている必要があることも留意しておきたい。
文◎Watch LIFE NEWS編集部
提供元・Watch LIFE NEWS
【関連記事】
・【第4回-セイコー(プレザージュ&セイコー 5スポーツ)】3大国産時計の売れ筋モデルを調査、本当に売れた時計BEST3
・【1位〜5位まで一挙に紹介します】“タイムギア”読者が選んだ、欲しい腕時計ランキングTOP10-後編
・進化したエル・プリメロを搭載したゼニスの意欲作、“クロノマスター スポーツ”が登場
・菊地の【ロレックス】通信 No.078|小振りで着けやすいベーシックな旧エアキング
・アンティークの無名クロノグラフって知ってますか?