本記事は、ARアドバンストテクノロジ株式会社の武居正子氏によりご寄稿いただいたものです。
コロナ前後で変わったコンタクトセンター業界の運営課題
コンタクトセンター業界のセンター運営課題は、コロナ禍前後のここ数年で変化しています。
これまでコンタクトセンター運営においては、「センターにつながってからオペレータにつながるまでの時間」や「1件あたりの処理時間(CPH)」といった、顧客体験(CX)や生産性をどのように高めるかが重要視されていました。
そのため、「つながりやすさ」や「応答率」といったKPIを元に、業務の効率化や標準化、そして平準化をどう進めていくかといったオペレーションマネジメントが運営管理側の業務の中心でした。
ところが、コロナ禍以降の運営課題は、オペレータの「採用・育成」や「定着率向上」といった「人と組織」にシフトしていきました。
下記は、コールセンタージャパン編集部にて、2003年から毎年国内200社以上の運営企業、SVやリーダー、BPOベンダーや自治体を対象に、「センター運営における課題にはどんな内容があるのか?」という調査を実施した結果です。
昨年の調査から大きく変動したものは、「オペレータの採用・育成」で、昨年35.2%から55.2%と急増していることが分かります。全体的には、採用難・人手不足を反映した結果となっています。
コロナの影響による在宅シフトとITソリューション
「人と組織」にシフトしている主な要因のひとつには、在宅対応の増加が挙げられます。
コロナ禍の影響により、通勤が難しい状況や3密を回避するために、センターへの出社人数を制限する必要が生じました。
そのような背景から、多くの企業やセンターが、在宅対応を検討し、ITソリューションを導入するようになりました。
しかし、在宅シフトすることと実際に在宅で適切に業務ができているかは全くの別問題です。
下記は、同じくコールセンタージャパン編集部が2022年に実施した調査において、「センターの在宅運営における課題はどんな内容なのか。」という設問に対しての回答となります。
「情報セキュリティの確保」に続いて多いのが、「エスカレーション(転送)や手上げ対応ができない/難しい」や「スタッフのメンタルケア」などの課題でした。
センター運営の管理者は、ITインフラ面を整備するだけではなく、働く人たちの環境の変化を踏まえ、マネジメントや育成などの仕方も同時に変化させていくことが求められています。