ひとりキャンプに最適な南信州の深い森に抱かれた静かなテントサイトへ。お愉しみのキャンプ料理は、地元の人お勧めの羊肉の炭火焼きをメインに、地場産の食材を色々と調達。もちろん酔いの愉しみも信州産のとっておきだ!
まさに里山という言葉がふさわしい、のどかな景観の長野県上伊那郡中川村。中央自動車道の駒ヶ根SA、または松川インターからアクセスする。
西側に木曽駒ヶ岳や空木岳を有する中央アルプスの山並みが続き、東側には3,000m級の山が連なる南アルプスが鎮座し、その麓には天竜川が流れる広大な伊那谷が広がっている。斜面を生かした美しい棚田も見られ、なかでも飯沼の棚田は写真スポットとしても知られている。
大草城址公園や陣馬形山などほかにもキャンプの前後に立ち寄りたい眺めのいい場所が点在。天竜川西側の山麓へ移動すれば、南アルプスの山並みが望めるという人気のエリアだ。
信州の食材や酒を買い込みキャンプサイトへ向かう
西に中央アルプス、東に南アルプスの3,000m級の山並みが雄大に連なる南信州の伊那谷。その谷間には天竜川がゆったりと横たわり、両岸に広がる広大でのどかな里山風景は穏やかな心持ちへと誘ってくれる。棚田を彩る黄金色の稲穂。飛び交う赤トンボ。そしてその景色を見守るように佇む路傍の石仏……。峻険な山々を背景に、さわさわと風になびく稲穂の波が秋の深まりを告げていた。
今回、ひとりキャンプを愉しむフィールドは、そんな伊那谷の南アルプス側の山麓、上伊那郡中川村にある「信州伊那谷キャンパーズヴィレッジ」。村の中心部から蛇行する山道を30分ほど車で走った、標高約900mの山間に位置している。近くには伊那谷と中央アルプスの展望地としても知られる陣馬形山(標高1,445m)もあり、キャンプ場からハイキングを楽しむことも可能だ。
キャンプ場に行く前に、まずは食料の調達をする。立ち寄ったのは国道153号線沿いにある地元密着のスーパーマーケット「中川ショッピングセンター・チャオ」。地場産の朝採れ野菜や果物、食料品などが揃っている。
秋の信州の味覚といえばリンゴが外せないが、合わせて昨今話題のシードルも購入。シードルとはリンゴ果汁を発酵させて造る発泡性のある醸造酒で、南信州エリアでは近年クラフト・シードル造りに力を入れているのだ。焚き火を眺めながら冷えたシードルを飲む。あぁ、早くも気分が盛り上がってきた。
もちろん信州産赤ワインや地ビールも入手したので、それに合うバーベキュー用の肉も忘れてはいけない。ということで隣町の飯島町にある「下平精肉店」で、今回はラム肉(子羊)とマトン(成羊)、そして店オリジナルのタレを購入する。
肉はオーダーごとにカットして量り売りしてくれるので鮮度も抜群。ちなみに、地元で食べられている馬肉なども人気商品である。
森に抱かれ食と眠りを享受するテント場での穏やかな時間
食料を揃えたところで、いよいよ目的地の「信州伊那谷キャンパーズヴィレッジ」へと向かう。くねくねと狭い山道を進んでいく少々の不安と期待が入り交じる楽しい道だ。入口の看板に“ようこそ、かくれ家へ”とあるように、そこは深い森に抱かれた静かなキャンプサイトだった。
約1万2,000平方メートルに50余のオートキャンプサイトとログキャビンなどが点在しているが、山の斜面を生かしたスペースはゆったりとしており、隣の目線などもあまり気にならない。元棚田という地形をそのまま活かして造ったキャンプサイト、敷地内を流れる渓流や雑木林など自然あふれるまさに隠れ家キャンプ場だ。もちろん水場やトイレ、売店、風呂やシャワー室も完備されている。
テントを設置したのは、青々とした草地の広がる明るいサイト。ここが今宵のひとり占めスペースだ。
テントやタープなど住居スペースのセッティングをひと通り終えたら、コーヒーを淹れてホッとひと息。そして夕食の準備を早々にスタートした。秋の夜の訪れはつるべ落としなので、なるべく明るいうちに夕食を食べ始めることにしたいからである。
持参したコールマンのパックアウェイ(TM)グリル2ブラックに炭火を熾し、ホイルに包んだ野菜などを網に乗せる。道中で買った信州サーモンの刺身も皿に盛り付けておき、最後にメインの肉を焼いていくというプロセスだ。同時に焚き火、ランタンに火を灯すと、あたりは一瞬にして温かな空気に包まれた。のんびり缶ビールを飲みながら、ひとり黙々と準備するその時間が何より愉しい。
陽の光が山の端に隠れ、空が茜色から紫紺に変わると焚き火の炎もより赤々と映え、薪のはぜる音がパチパチと森に響き渡る。虫の声も共鳴しているものの、むしろ静けさ、山の深さを際立たせているようだ。
森の静寂に溶け込む薪音とワインの香りに酔う
酒をシードルに変え、焼き上がった骨付きラム肉と焚き火に放り込んでおいた焼きリンゴを頬張る。甘く爽やかな酸味と、ハーブを利かせた塩味の肉の旨味が何とも美味だ。シードルは信州サーモンとの相性も抜群であった。
夜の深まりと共にワインの杯も重なり、いつしか椅子に座ったままうつらうつら……。肌寒さを感じてふと夜空を見上げると、さえざえと光りを放つ半月が浮かんでいた。火の始末をしたら、そのままテントに潜り込んで夢の時間を享受することにしよう。
翌朝はテントをかすかに揺らす風の音で目覚めた。外に出ると空は今日も快晴。
さっそくモーニングコーヒーを淹れ、香りに包まれながらしばし森をぼんやりと眺める。誰にも邪魔されない穏やかな朝のひと時は、まさにひとりキャンプの醍醐味だろう。
さあ、朝食を食べたらゆっくと後片付けをして、隠れ家から賑わう下界に戻っていくことにしようか。
【BEST CHOICE】森の中で座り心地の良い居場所をつくる
数々の受賞歴を持つモンベル(ヘリノックス)の「チェアワン」。背面にはメッシュ素材を用い、通気性も抜群。軽量でコンパクトながら、つり下げ式シートにより快適な座り心地だ。スタッフバッグをフレームに取り付けると、小物入れとしても利用できる。
ヘリノックス「チェアワン L」
重量:1,090g
価格:1万2,000円
問い合わせ:モンベル
Camp ground information
南信州の隠れ家「伊那谷キャンパーズヴィレッジ」
細い山道を走ったところにある自然の中に隠れるような、キャンプ好きの思いが詰まった手作りキャンプ場。本物の自然が色濃く残る山里を再生して棚田をそのまま利用したまさに隠れ家。
長野県上伊那郡中川村大草7833
電話/0265-88-2695
チェックイン・チェックアウト/13時~翌11時(テントサイト)、14時~翌11時(コテージ)
料金/入場料大人1,000円、車1,000円、オートキャンプサイト500円~、ログキャビン5,000円~、AC電源使用料1,000円~
アクセス/中央自動車道 「松川IC」より車で30分
HP/http://www.odp.jp/icv/index.html
※開設期間、シーズン料金等の詳細はHPで ご確認ください。
Thanks/新越ワークス、新富士バーナー、モチヅキ、モンベル、ユニバーサルトレーディング
Text/Yukimi Iwaya Photo/Takeo Aki
男の隠れ家デジタル編集部
いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。
我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。
提供元・男の隠れ家デジタル
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