「質」の追求とトリキバーガーの新展開

だからこそ、こだわり続ける質の部分は妥協なく追求し続ける。国産へのこだわりはそのままに、日本の農業を応援する期間限定メニューの提供もその一環。国内産のみずみずしいキャベツを使用した「春採れキャベツの豚バラ回鍋肉串」や旬のニラを使用した「鶏レバニラ串」「パワーラーメン」など、質にこだわった付加価値の高いメニューを提供することでコスパは落とさない。
別業態であるトリキバーガーについては、都内の既存2店舗の売上が低位安定し、当初の想定売上に到達していないことから、ビジネスモデル・ブランドの刷新に踏み込む。既存モデルでの新店は凍結し、新たに見直したモデルとして大阪市内に今年、3号店をオープンする計画だ。大倉社長の肝いり施策でもあり、中長期的に同社事業の柱にするという方針に変更はなく、激戦のファストフード業態を勝ち上がれるスタイルを追求する。
海外進出にも本腰を入れる。4月には100%子会社を米国に設立。飽和と縮小で先細り必至の国内市況を見越し、海外でも「鳥貴族」ブランドのインパクトを浸透させ、将来を見据えたグローバル展開で市場拡大を加速する。
問われるのは「脱格安」でも顧客を維持するための戦略?
「やきとり大吉」買収で1000店舗超えを果たし、規模の力は手に入れた。今後はアフターコロナと脱デフレトレンドの下でいかに付加価値を訴求しながら顧客を確保し、単価を上げていくかが問われることになる。
実質的に格安居酒屋とはいいにくくなる中で、品質に対する割安感、つまりコスパのよさを適正に受け入れてもらえるマーケティングも重要になってくる。接客をベースにしたサービス力の向上もこれまで以上に重要になるだろう。
さらにトリキバーガーのような非居酒屋業態を軌道に乗せることも、中長期を見据え、安定的な成長には不可欠だ。確実にシュリンクする国内市場に頼らない、海外展開も一層重要になる。
やきとり大吉を正式に傘下に加えて発進した2023年。外食産業を取り巻く環境が大きく変化する中で、同社自体もリソースの最大化・最適化など、成長を停滞させないための進化が強く求められる。社会が脱デフレトレンドに傾く状況下で、どんなスタンスで苦境を乗り越え、成長曲線へと自社をのせるのか。
その動向は、そのままアフターコロナにおける居酒屋の生き残り策ともシンクロし、デフレ下で急成長を遂げた同社にとっての新たな成長へ向けた一歩となりそうだ。
提供元・DCSオンライン
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