検知しにくい工場の異常音

工場や施設では、複数の装置が同時に稼働しているため、常に機械音や作業音が発生しています。

これまでは、施設の管理者が一日数回現場に足を運び、これらバックグラウンドノイズの中から、ボルトのゆるみから起きる衝撃音、部品の劣化に起因する機器の摩擦音など、機器の不具合やその予兆を示す異常音を経験に基づいて聞き分け、異常を察知していました。

このプロセスを遠隔管理するためには、異常音検知センサーなどの導入が必要となります。

しかし、市販されている機器は、一台の価格が数十万円台と高価で多機能なものから、音源が発する音の大きさのみを記録するものまで、製品の幅が広く、適切な機器やシステムの選択には高い知見が必要でした。

さらに、検知した信号を伝送するためには、ケーブルを敷設し、電源を確保する必要があり、このことが工場や施設に新しいシステムを導入する上での障壁となっていました。

「e-Platch™」サービス概念図 © TOPPAN INC.凸版印刷はこの課題を解決するために、スマート点検支援サービス「e-Platch」に、異常音検知の機能を追加。

凸版印刷は、約50年におよぶ半導体設計事業により培った回路設計技術や、クラウドサービス事業におけるデータ加工のノウハウを駆使しすることで、音データをZETA通信の環境下で効率的に取り扱うことを可能とし、今回のソリューションを実現しました。

今後同社は、今回開発した収音センシングシステムに加え、温度・湿度・照度・二酸化炭素濃度を計測する「マルチセンサー」を含む各種センサーをラインアップした「e-Platch」の拡販を進める方針です。

(文・Motohashi K.)