議会「活性化も可能」

DCMS委員会は「適切な支援策を施すことができれば、地方紙業界の活性化と持続可能な未来を実現できる」としている。具体策として、BBCが英ニュースメディア協会との合意を基に2017年から始めた地方紙との提携事業の拡大を挙げた。

自治体など公的組織の動きを取材する「地方民主主義記者」制度は、165人の記者を地方紙の編集室に配置。記者の給料としてBBCが徴収する放送受信料から年間800万ポンド(約13億円)を拠出する。この制度も大手発行元に集中する傾向がある。記者165人のうち、21年7月時点でリーチに75人、ニューズクエストに28人、ジョンストン・プレス(現ナショナル・ワールド)に35人が配置された。

報告書は公益性の高い報道の維持を目的とした、政府による長期的なイノベーション基金の設置、大手と中小の発行元の間で公的資金が公平に分配されているかを巡る調査の実施なども提言した。

厳しい環境の中、新興の地方メディアも生まれている。その1つが14年に創刊された共同所有者形式の「ブリストル・ケーブル」紙だ。四半期毎に雑誌形式の紙の新聞を発行し、オンライン版では週に数回記事を更新する。いずれも無料で閲読可能。会員の共同所有となっており、運営費は一人当たり毎月1ポンド(約163円)以上を払う会員費で賄っている。

(2月28日発行の「新聞協会報」の筆者コラム「英国発メディア事情」に補足しました。)

編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2023年3月23日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。