仮装試着サービスはオンライン化への布石

老舗の増永眼鏡、仮装試着サービスで若いお客の「来店」が増えている理由
(画像=下北沢店の中央に据えられている「ZEISS VISUFIT 1000」、『DCSオンライン』より引用)

現在、メガネ市場は5000億円と言われているが、以前は6000億円ほどの市場規模だった。規模縮小の大きな理由の一つが、低価格のメガネを提供しているスリープライスショップの登場だ。これにより、メガネの出荷枚数・数量自体は上がったものの、客単価は下がっているのだという。

そうしたなか、増永眼鏡のフレームは3万円台後半~7万円台と価格帯は決して安くないが、売上は増加を続けている。衰えない人気の理由について野原氏は、「1905年に創業した老舗のメガネフレームメーカーであり、福井県が眼鏡の産地として知られるようになったのは、当社の創業者である増永五左衛門が福井県に眼鏡産業を持ち込んだことがきっかけ。また、1社で一貫して生産しているため、クオリティコントロールや納期管理、アフターフォローが非常にやりやすい体制だ。こうした点が評価されているのではないか」と分析する。

一方で、メガネの購買動機を増やすため、視力矯正以外にファッションアイテムとしての存在感を伝えていきたいと話す。「たとえば、転職や入学のときに自分のイメージを変えたいからメガネを変えるというように、洋服のようなファッションアイテムとしても定着させていきたい」

2022年11月からはECもスタートさせた。「若い世代はSNSから飛んで商品を購入することに抵抗がない。逆に増永眼鏡の直営店は入口が小さくて入りづらいと思われているようだ。そのため、若い世代の方に入ってきてもらうドアを作りたかった」

サイトの閲覧は非常に多く、実際に若い世代の来店数も増加している。「視力検査やメガネの調整には来店が不可欠だ。ただ、ファッションアイテムとして使用されるのであれば、一度アバターを作っていただければ、自宅での購入がよりスムーズになる。仮想試着サービスが後押しになればと考えている」(野原氏)

提供元・DCSオンライン

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