中国の習近平国家主席のロシア公式訪問は22日、3日間の日程を終えて終了した。前日の21日、習近平主席とロシアのプーチン大統領はクレムリンでの正式な会談の後、「包括的な戦略的パートナーシップと協力」を2030年まで拡大するため、2つの主要な協定に署名した。ロシアの国営テレビは21日、クレムリンでの調印式を放映した。

習近平主席とプーチン大統領(2023年3月21日、クレムリン公式サイトから)

習主席はプーチン大統領との「建設的な会談」を称賛し、ロシアとの貿易・経済協力の拡大を歓迎した。一方、プーチン大統領は習近平主席に石油とガスの信頼できる供給を約束する一方、原子力発電所への支援を約束している。同大統領はまた、中国により多くのガスを送り込むパイプライン「シベリア2」の建設について話したことを明らかにした。プーチン大統領によると、ロシアは2030年までに、ガス供給量を年間約1000億立方メートルに増加し、さらに1億トンの液体ガスだけでなく、石炭と核燃料も供給する予定だという。

なおプーチン大統領によれば、中国とロシア間の貿易総額は昨年、約1900億ドル(1770億ユーロ)で新記録に達した。今年は、その価値が2000億ドルを超えると予想されているという。プーチン大統領は、「ロシアに対する西側の制裁の圧力にもかかわらず、貿易は増加している。ロシアは中国に農産物を供給する準備もできている」と述べている。

プーチン大統領は、国際刑事裁判所(ICC)が17日、ウクライナの児童を強制拉致したなどの容疑で戦争犯罪人として逮捕状を発令した直後だったので、久しぶりの要人をクレムリンに迎えて気分を一新できたのではないか。習近平主席の傍で終始笑顔をみせるプーチン氏の顔がロシアのテレビ放送に映っていた。一方、習近平主席は3期目の最初の外遊先として隣国ロシアを訪問し、ウクライナ戦争で苦戦するプーチン氏に連帯の手を指し伸ばすという役割を果たす一方、ウクライナ和平のための中国発「12項目の提案」を世界に向かってアピールした。プーチン大統領は、中国のウクライナの和平イニシアチブを「交渉の一部であり、非常に生産的だ」と評している。互いにエールを交換したわけだ。