最近の自動車保険には、一部を除いてロードサービスが無料で付帯されているのが当たり前になっている。このロードサービスの内容は、保険会社によって多少違いがある。そのため、自動車保険選びに迷ったら、保険料以外にもロードサービスの充実度を見て判断してみてはいかがだろうか。
JAFと自動車保険 ロードサービスの大きな違いはその対象
ロードサービスといえばJAFを思い浮かべる人は多いだろう。JAFとは一般社団法人日本自動車連盟のこと。JAFが提供するロードサービスと自動車保険に付帯されているロードサービスの決定的な違いは、JAFのロードサービスは人(会員)が対象、自動車保険のロードサービスは契約されている車両が対象であることだ。ここでは、サービス対象の違い以外に、JAFと自動車保険のロードサービスの違いを確認しておきたい。
JAFのロードサービスは、車両トラブルが発生した際に、会員・非会員に関わらず、24時間365日対応で、救援要請に応じて現地に赴きトラブルに対処する。
そのロードサービスの内容としては、バッテリー上がり・タイヤ交換・キー閉じ込み・燃料切れや故障車のけん引、雪道やぬかるみなどからの引き上げ・タイヤチェーンの着脱などが挙げられる。非会員であればサービスごとに定められた料金を支払うが、入会費と年会費を支払って会員になれば、部品・油脂・燃料代、15キロメートル以上のけん引、30分以上の作業時間以外は、一般道と高速道路のどちらで発生したトラブルでも基本無料で何度でもサービスを受けられる。JAF会員は、車を買い替えたり、レンタカーを借りたり、友人の車に同乗していた場合でも、こうしたロードサービスを変わらず無料で受けることができる。
JAF会員はロードサービス依頼時に希望があれば無料で、レンタカー会社・宿泊施設・タクシー会社・長距離自動車運送会社・大型車両修理会社の紹介もしてくれる。それ以外にも、気になる箇所を1点無料で点検・アドバイスするサービスや、事故に遭って救援要請があった時には事故現場で行うことをアドバイスしてくれるサービスも無料だ。
これに対して自動車保険のロードサービスでは、自動車保険を掛けた車両にトラブルが起きた際に、自動車保険契約者の救援要請によって24時間365日体制でスタッフが現場に駆け付ける。保険会社ごとに無料回数や限度額などが違うものの、バッテリー上がり・タイヤ交換・キー閉じ込み・燃料切れといった車両トラブルの救援要請や故障車のレッカー移動などを要請できる点はJAFと同じだ。
車両トラブルの発生によって車が走行不能となった場合、JAFはレンタカー会社や宿泊先・タクシー会社などの紹介にとどまるものの、多くの自動車保険のロードサービスでは、現地宿泊費や帰宅のための交通費・レンタカー費用・修理済車両の自宅への運搬費用などの支払サービスは標準的であり、同乗していたペットの現地ペットホテル代や自宅でのペットシッター追加費用などもロードサービスの一環として支払ってもらえることもある点が大きく違っている。
各自動車保険に共通するロードサービス
自動車保険によってロードサービスにどのような違いがあるかを確認するために、保険料の安いダイレクト型自動車保険のうち、アクサダイレクト、イーデザイン損保、ソニー損保、そんぽ24、チューリッヒの5社の自動車保険をサンプルとして選んだ。
選択基準は、JAFの主な出動理由上位に挙げられているバッテリー上がり・タイヤ交換・キー閉じ込み・燃料切れと、走行不能の場合に欠かせない故障車けん引という基本とも言えるロードサービスの5つが、保険期間中に1度は無料(ガス欠の燃料代が実費の場合もあり)で受けられる自動車保険である点だ。
現在では、車が走行不能になった際に、搭乗者の帰宅交通費サービス・トラブル発生後のレンタカー24時間分の料金無料・同乗していたペットの現地でのペットホテル宿泊費1泊分または自宅でのペットシッター追加料金/自宅付近のペットホテル延泊料金を一般的に1万円までサービス・修理済車両の自宅への無料運搬サービスまたは車両引き取りに向かうサービス利用者の片道交通費サービスといったものもロードサービスとして組み込まれていることが多い。
自宅玄関カギ開けサービスが独創的 アクサダイレクトの自動車保険
アクサダイレクトに特有なのは、2年目以降の契約者が対象になっている保険期間中1回限定の玄関カギ開けサービスだ。車両へのキー閉じ込みとは別に、自宅玄関のカギを紛失した場合に、カギの専門業者を自宅に手配してくれるこのサービスは、自宅のカギを何度も失くしたことのある人にとっては気の利いたサービスと言えるだろう。
基本のロードサービス5つ(バッテリー上がり・タイヤ交換・キー閉じ込み・燃料切れ・故障車けん引)や、エンジンオイル/冷却水補充作業・落輪引き上げ・修理後車両搬送費用サービス・一人分の修理後引き取り費用サービスといった標準的なロードサービスに加えて、アクサダイレクトでは無料で雪道スタック引出し作業も行ってくれる。なお、修理済車両の引き取りのための一人分の交通費には上限5万円という高い金額が設定されているのが頼もしい。
バッテリー上がりの際には、保険期間中1回限定だが、必要に応じてジャンピングに限らずバッテリー交換作業でも無料で対処してくれるのはありがたい。
故障車のけん引は保険会社指定の最寄修理工場であれば距離無制限で無料だが、サービス利用者指定の修理工場だと35キロメートルまでしか無料にならないので気を付けたい。また、燃料切れでは、1年目は保険期間中1回に限り燃料代のみ実費負担になるが、2年目以降は保険期間中1回に限り10リットルを無料で届けてくれる。
多くのロードサービスを回数無制限で利用できる イーデザイン損保
イーデザイン損保のロードサービスでは、バッテリーのジャンピングと燃料切れ時の燃料10リットル無料お届けは保険期間中1回しか利用できないが、それ以外の現場での応急対応は利用回数無制限だ。
指定の最寄工場なら距離無制限、サービス利用者の指定工場であれば60キロメートルまで無料でレッカーサービスが受けられる。引き上げ・引き下ろしサービスはクレーンを使用しない限りは無料だ。その他、各種オイル・冷却水の補充、各種ヒューズ・バルブの取り換え、ボルトの増し締め、サイドブレーキの固着解除、30分以内のそれ以外の作業も無料サービスとなっている。
燃料切れの際には、契約1年目からガソリンか軽油10リットルを保険期間中に1回無料で届けてくれる。
車が走行不能になった場合、JAF同様に現場近くの宿泊先や帰宅手段・レンタカー会社の案内などは受けられるが、他社とは違い、利用によって発生する費用は全額自己負担になる。
レッカーの無料けん引距離が150キロメートルに拡大 ソニー損保
ソニー損保の自動車保険付帯ロードサービスの中で目を引くのが、レッカーの無料けん引距離が長いことだ。ロードサービスを付帯する自動車保険では、多くの場合、保険会社指定の最寄修理工場までのレッカーによるけん引費用は無料だが、サービス利用者が指定する修理工場までの無料けん引については距離制限を設けていることが多い。その無料けん引距離が2018年7月契約分より150キロメートルに拡大された。他社と比較すると、無料けん引距離の長さは群を抜いている。
ソニー損保の基本のロードサービス5つのうち、バッテリー上がりとガス欠対応の無料サービスは保険期間中1回に限定されており、ガス欠の際の燃料お届けは契約1年目では燃料費は実費負担、契約2年目になると10リットルまでの燃料が無料になる。
走行不能になって現地での宿泊を余儀なくされた際には、車両定員数を限度に限度額なく、1泊分の宿泊費用・現地から宿泊先までと宿泊先から自宅までの交通費も支払われる。また、 トラブル後24時間以内に発生したレンタカー利用料が乗り捨て料も含めてカバーされる。
走行不能になっても計画通り目的地に向かう場合は、宿泊先までの交通費と自宅に帰宅するための交通費が支払われる。修理後車両の自宅への運搬は距離無制限で無料になり、本人引き取りの場合は一人分の交通費は1万円を上限として支払われる。脱輪・落輪の引き上げは無料サービスであり、ほとんどのサービスメニューにおいて作業時間の制限はなく、基本無料である。
他社にはないGPS現在位置特定サービスで差別化 そんぽ24
そんぽ24のロードサービス最大の特長は、GPS現在位置特定サービスだ。サービス利用者がロードサービスを要請すると、所持するスマホのGPS機能により現在位置を特定できるというサービスであり、サービス利用者が不慣れな土地でトラブルに見舞われた時でもスタッフが迅速に現場に駆け付けることができる。
それ以外のそんぽ24特有のサービスとして、旅行キャンセル費用サポートと称される、宿泊施設と旅客機などのキャンセル費用が総額5万円まで支払われるサービスがあり、いざという時に心強い。
レッカーサービスはそんぽ24の指定最寄修理工場までであれば無料、サービス利用者が指定する修理工場であっても100キロメートルまで無料であり、無料けん引距離はソニー損保に次いで長い。
ガス欠時の燃料補給サービスでは、保険期間中に1回だけ燃料10リットルまで無料で届けてくれる。2回目以降の燃料補給は有料になるが回数制限を設けていないのは、5社のうちそんぽ24だけである。
バッテリー上がりの対応は、ケーブルを接続してスタートさせるサービスであれば回数無制限で無料で受けられる。ただし、バッテリーの交換や充電は有料となる。
時間制限なしや限度額なしのサービスが多い チューリッヒのスーパー自動車保険
チューリッヒには、ロードサービスが無料で付帯されているスーパー自動車保険とロードサービスが特約で付けられるネット専用自動車保険の2種類がある。そのうち、スーパー自動車保険のロードサービスは、ガス欠時のガソリン給油とバッテリー上がりの時のジャンピングサービス、キー閉じ込み時の解錠サービスについては保険期間中に1回だけ無料で利用できるが、それ以外は作業時間制限なしの無料サービスが多く自己負担が発生することが少ない。
各種オイル漏れ対応でのエンジンオイル代、エンジン冷却水補充の際の冷却水、各種灯火類バルブ交換のバルブ、キー紛失時の解錠とキー作成(保険期間中1回)も無料になる。
その他、レッカー移動は比較的長距離の100キロメートルまで無料であり、5万円を限度としたキャンセル費用サポートも受けられる。修理済車両の自宅への運搬が無料であるのに加えて、チューリッヒはサービス利用者が直接引き取りに行く場合、一人分の片道交通費が全額支払われる。
文・ZUU online編集部
【関連記事 PR】
・iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
・ゴールドカードのメリットや作り方
・「ふるさと納税」するなら知っておくべき5つのこと
・ポイント還元率の高いクレジットカード11選
・40代が知っておきたい保険の知識まとめ