
同時期に、教団の勧誘行為に無理やり連れていかれることもあり、辛くて泣いてしまうことがあった。そのときには、普段は大人しい祖父が母に対して信じられないほど厳しく怒っていたのを今でも覚えている。
エホバの証人では神以外のことを讃える歌を歌うことを禁じられているため、そのため私は全校集会のとき国歌を歌うことができず口パクでしのいでいたものである。そのことに気付いた同級生が「なぜ歌わないのか?」と聞いてきたことがあった。私は「親が入っている宗教のためなんだ……」と答えた。同級生はそれ以上なにも聞いてくることはなかったが、他の人がやっていることをなぜ自分はしてはいけないのか嫌で仕方なかった。
そして最も強く印象に残っていることはポケモンの歌に親が怒ったことである。ゲーム機「ニンテンドー64」の購入特典にポケモンのCDがついていたのだが、「歌詞が戦闘的すぎる!」「戦いを賛美している!」として聴くのを禁じられた。自分の好きなものを否定され、私は大変なショックを受けたものだ。しかしそんな日々も長くは続かなかった。親が教団の教えについていけなくなり、私が小学校高学年のときに辞めた。こうして私は比較的早い段階で自由になることができたのは不幸中の幸いだと思っている。
だが、その後も数々のトラウマが私を襲った。精神的にも不安定になり、高校も大学生活も上手くいかず、20代の頃は精神を病んでいた。自殺未遂をしたこともあるし、精神病院に入ったこともある。その時に私を救ったのは神や聖書の言葉ではなかった。他の本に書かれている言葉(私が特に好きなのはゲーテである)やmixiやTwitterを通じて知り合った人々や友人たちに救われた。
今の私は、比較的安定した収入を得られるようになり、1人暮らしをできるまでになった。おかげでさまざまな人々と知り合い、いろんな経験をしている。神を否定するつもりはないが、今の生活ができているのは神ではなく、人との繋がりのおかげである。
今の世の中が前より生きづらいのは確かである。去年だけでもどれだけの有名人が自殺したことか、私の周りでも自殺する人がいて私自身もひどく落ち込んだものだ。これを読まれている読者の方にも神を呪いたくなるような状況におかれている人がいるかもしれない。だが決して諦めてはいけない、休みながらでいい、自分のペースでいいので立ち直っていってほしい。
とにかく今は『生き延びて』ほしい。夜明け前が一番暗いだとか、雨はいつしかやみそこには虹がかかるなど安い言葉でしかなく気休めにもならないだろう。だが死ねばそこで終わりだ。あなたが生き延びていること、生きていることで繋がっていく縁はきっとあるはずだ。たとえ神があなたを見捨てても、誰かがなたを見捨てず助けてくれるはずである。
文=栗林安吾
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提供元・TOCANA
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