イギリスやアメリカによるアジアの植民地支配は、日本とは比べるべくもないほどに過酷なものでしたが、彼らはリスクを計算して決してインドやフィリピンを「併合」しませんでした。やはり日本が「遅れてきた帝国主義」であったことは認めざるを得ません。

故・安倍晋三元総理は「謝罪を次の世代に背負わせてはならない」と述べられました。日本国内には「いつまで謝りつづければ、韓国は許すと言うのだ」といった憤りもありますが、それは謝る回数や年月の長さの問題ではなく、日本国民の真摯で誠実な気持ちが韓国国民に伝わるかどうかの問題なのでしょう。

故・小室直樹博士は「『同化政策』が、韓国のごとき、長い歴史と高い文化を持ち、また、社会構造的に宗教的に、日本と全く異質的な韓国において失敗することは火を見るより明らかであった。日本人が、韓国人に嫌われる最大の原因は『同化政策』なのである」と述べていますが(「韓国の悲劇」・光文社)、日本の教育ではこのことにほとんど触れていません。

「正しい歴史」とは、かつての日本を全面的に肯定することでも否定をすることでもないはずです。尹大統領の訪日を機に、日韓に新たな歴史が刻まれ、それが北東アジア地域の平和と安定に大きく寄与することを願っています。

昨16日、自民党外交調査会の国連改革についての勉強会でスピーチをする機会があったのですが、国連憲章第53条と107条に定められている「敵国条項」について調べてみたところ、1945年4月25日に国連憲章作成のために米・英・ソ連・中華民国が主導して開催されたサンフランシスコ会議に招請されたのは「1945年3月1日までに枢軸国に対して宣戦布告をした国」に限られていたのだそうで、「戦勝国連合」をその本質とするUnited Nationsに加盟したいがために、慌てて日本に対して宣戦布告した国も多かったのだそうです。

最終的に日本に対して宣戦布告した国の数は50か国に達しており、このことを全く知らなかったことを大いに反省したことでした。

「敵国条項はもはや死文化しており、これを削除することにあまり意味はない」との意見もありますが、条項が残っていることにはそれなりの意味や思惑があることを忘れてはなりません。これについてはまた機会を改めて記したいと思います。

東京は桜の開花宣言もなされましたが、今日はやや肌寒い一日となりました。

皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

Oleksii Liskonih/iStock

編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年3月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。