大幅な冷却の電力削減などを実証
今回の実証実験の成果は、以下の通りです。
(1)冷却効率の立証
・最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置を含む液浸システムを開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化をすることで、サーバー冷却のために消費される電力の94%削減とPUE値1.05を実現しました。
(2)高可用性の実現
・液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を立証しました。加えて、IT機器が発する騒音は空冷方式に比べて、日常の会話レベルとなる約35dBの低減を実現しました。
(3)商用化を見据えた、保守マニュアル整備
・国内での商用利用を見据え、保守体制の検討、保守マニュアルの整備も含めた実践的な運用を行いました。
DXへの寄与を目指す3社の役割
今回の実証実験における各社の役割は以下のようになっています。
・KDDI:本実証の円滑な管理推進。可用性を考慮したデータセンターへの液浸システム導入におけるシステム設計。IT機器の導入、保守、運用体制の課題解決に向けた取り組みとフィールドトライアル。
・三菱重工:フリークーリング(外気空冷)装置の開発および試作。液浸システムの設計、構築。液浸システムの制御および運用試験。フリークーリング(外気空冷)装置の保守・運用設計。
・NECネッツエスアイ:液浸データセンター向けの設備導入設計と課題抽出および改善。液浸装置、電源設備などの調達、設計、施工を通して課題抽出と改善。統合監視システムの SI設計構築を通して監視、管理、制御手法の検証。最適な保守設計、運用、保守スキームの確立。
3社は今後も、本実証を通じて、国内のデジタルトランスフォーメーション(DX)の発展に寄与するとともに、脱炭素化および地球環境保全に貢献していくとのことです。
(文・Motohashi K.)